コインチェックから仮想通貨が580億円分流出した事件は世界的にも影響が大きく、その結果世界各国での規制強化の動きにつながるといわれている。日本をはじめとする世界的なセキュリティ対策などガイドラインの強化が急務である。
仮想通貨は、投資目的など様々な分野での活用が期待されているが、同時に大きな危険性もはらんでいる。その事実が浮き彫りとなったのが、日本の仮想通貨取引所コインチェックからの580億円分の仮想通貨NEMが流出した事件である。これを受けて、現在世界的な広がりを見せているのが仮想通貨の規制の動きだ。
仮想通貨の規制については中国が非常に厳しい措置をとっていることで知られている。中国では仮想通貨関連事業そのものへのアクセスをはじめ、国で徹底した管理を行うことから事実上仮想通貨の取引は不可能とされている。こうした強化については中国では今後も継続して行われるとみられており、実際にこの中国の規制によってビットコインなど仮想通貨の価格が急落したというケースもある。また、これに近い規制を敷いているのが韓国である。韓国では仮想通貨取引所の閉鎖を検討しているといわれており、今後もさらに規制が強化すると思われる。
それに対して、アメリカなど欧米諸国については規制はあるものの比較的ゆるやか、というのがこれまでの仮想通貨に対するスタンスだった。特にアメリカは、仮想通貨の取引高が世界一ともいわれており、中国や韓国などと同じようにいきなり規制をするということにはあたらないとの見方が強い。ただし、今回のコインチェックの流出事件が外部からのハッキングによるものから、世界的なセキュリティ対策実施を含めて仮想通貨そのものの規制に発展する可能性は極めて高いとみられている。
では日本ではどうか。日本では、仮想通貨取引所などを運営する団体で構成された「日本仮想通貨事業者協会」から仮想通貨の広告表示による自主規制を要請している。仮想通貨のもつ危険性の表示や、個別での仮想通貨の取引についての注意を呼びかけるというのがその要請の主な内容だ。また、コインチェックの仮想通貨流出事件を受けて金融庁でも仮想通貨の規制に向けての対応を迫られている。日本でもアメリカと同様いきなりすべて規制されるということはないとしても、これまでと全く同じような取引ができるとは限らない。
今回のコインチェックの仮想通貨流出事件の要因となったのはセキュリティ対策の不備ではあるが、その不備を突けるだけの技術を持った者が外部に存在するということでもある。日本をはじめ世界各国で注目される仮想通貨だが、それだけに取扱に関するガイドラインは世界各国によりまちまちだ。今回の事件が、まだ世界的な足並みが揃う前の間隙を縫ったものだとすれば、早急な対策を打ち出すことが仮想通貨の安定化には欠かせない。(編集担当:久保田雄城)