裁量労働制で働く人の労働時間の方が一般労働者の労働時間より短いとのデータもある、と安倍晋三総理が国会答弁し、裁量労働制の導入を働き方改革の関連法案に入れることの正当性を主張していたが、その後に、データ根拠があいまいであることが分かり、総理は答弁を取り消して謝罪した。
この問題で19日、厚労省は衆院予算委員会理事会で改めて、この調査において「異なる質問で集計したデータを基にしていた」ことを明らかにするとともに「単純に比較できないものだった」と謝罪した。
ただ、加藤勝信厚労大臣は先週金曜(16日)の記者会見で「高度プロフェッショナル制度や裁量労働制の対象拡大についても労働政策審議会で『概ね妥当』という答申をもらっている」などとし「要綱に沿って法案提出へ準備させていただく」と今回の問題が明らかになって後も法案提出の姿勢は変えていない。
一方、立憲民主、希望、民進、共産、自由、社民の野党6党の国会対策委員長は19日「働き方改革関連法案」について、労働政策審議会(労政審)に差し戻して議論をやり直すべきだとの見解で一致した。
立憲民主党の辻元清美国対委員長は「裁量労働制対象拡大は経済界念願だったもの。それを突破するために違う基準のデータを持ってごまかそうとしたのではないかと疑わざるを得ない。こんな法案を提出することは認めるわけにはいかない。労政審に差し戻し、法案そのものを作り替えるべき」とした。(編集担当:森高龍二)