裁量労働者の方が労働時間短い「根拠あいまい」

2018年02月14日 08:03

 安倍晋三総理は「裁量労働制」について衆院予算委員会で「厚生労働省調査では裁量労働制で働く方の労働時間は一般労働者より平均で短いというデータもある」と答弁していたが、根拠となるデータがあいまいであることが13日の衆院予算委員会で浮き彫りになった。

 立憲民主党の長妻昭代表代行(元厚労大臣)が質した。加藤勝信厚労大臣は明確な根拠を示せず、厚労省データについて精査していると苦しい答弁になった。

 長妻議員は独立行政法人・労働政策研究・研修機構の調査データをあげ、企画業務型・裁量労働制労働者の1ヶ月平均労働時間は厚労省調べでも194.4時間。労働政策研究・研修機構調べでは197.2時間になっている。一方、通常の時間労働制労働者の労働時間は厚労省調べで186.7時間。労働政策研究・研修機構調べで185時間だ、と指摘。厚労省の調べでも、独法の調べでも裁量労働制の労働者の方が、労働時間が長くなっていた。

 長妻議員は質疑後「重要データが仮に間違っているということであれば訂正・撤回をし、労働法制自体も大きく見直す必要がある。過労死で家族を失ったご遺族の方と今日もお会いした。本当に心配されている」と長時間労働につながりかねない制度だと問題視。

 そのうえで長妻議員は「ゆとりある働き方を実現しなければ高付加価値を生み出す、稼ぐ力は上がらない。労働法制は緩める一方でなく、規制を強めるべきところは強めるべきで、(安倍総理とは)真っ向から労働法制観が違う」と視点の修正を求めた。(編集担当:森高龍二)