過去最高の売上高を更新した2011年に引き続き、2012年もその市場規模が拡大すると見込まれている半導体市場。そんな市場にあって、DRAM分野で世界シェア3位につけるエルピーダメモリ(以下、エルピーダ)が、新メモリ(ReRAM)の開発に成功、2013年に量産化を目指す。
NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)との共同研究事業であり、シャープ、独立行政法人 産業技術総合研究所および東京大学との共同実施により今回開発に成功したのは、次世代新メモリの一種である高速不揮発性抵抗変化型メモリ(ReRAM)。電源を落としてもデータを保持できる不揮発性の新メモリでありながら、データの読み書きが高速で消費電力も少ないのが最大の特長であるという。
エルピーダが専業としていたDRAMは、データの読み書きの速度や回数などの面で、既存の不揮発性メモリよりも優れている反面、電源を落とすとデータが消えてしまう性質(揮発性)を有している。一方、不揮発性メモリの代表格であるNANDフラッシュメモリは電源を落としてもデータを保持する反面、性能面ではDRAMに劣っていた。今回開発に成功したReRAMは、これら両製品のメリットを兼ね備える半導体メモリであり、さらに、書き換え速度がDRAM並みの速度でありながら、書き換え回数はNANDフラッシュメモリの10倍以上の耐久性を達成しているとのことである。
エルピーダは今後さらに開発を進め、2013年にも30nmプロセスで容量がGビット級のReRAMの量産を目指すという。スマートフォンやタブレット端末の普及拡大にけん引されている世界の半導体市場において、低消費電力化にも貢献する新メモリが低コストで提供されれば、そのシェア獲得は必至であろう。2012年のメモリ市場は価格の上昇に伴い、売上高が11%増となる予測もなされている。そんな流れの中で、サムスン電子やハイニックスといった世界シェア上位の企業を脅かす切り札となるか、今後の動向が注目される