総理秘書官の「首相案件」発言、面会職員がメモ

2018年04月11日 05:34

加計学園獣医学部設置をめぐる案件で、愛媛県と今治市職員、加計学園幹部が2015年4月2日に総理官邸で柳瀬唯夫総理秘書官(当時)に面接した記録文書が、面会に出席していた愛媛県職員の『備忘録』に残っていたことを10日夕、愛媛県の中村時広知事が記者会見で明らかにした。

 この時の面会で柳瀬総理秘書官は加計学園獣医学部新設を「首相案件」と話していたことなどが記録されており、国家戦略特区制度を活用した獣医学部新設に当初から「加計学園ありき」の疑惑がより深まったことになる。

 中村知事は「愛媛県と今治市では獣医学部の必要を感じてきたが、なかなか岩盤規制があり難しいと感じていたところに、内閣府から国家戦略特区を活用してみてはどうか、と助言があった」とも語り「県としては長年の悲願だった今治市の願いが叶ったということで獣医学部ができたことを歓迎している。また国が認可し、学生が学び始めている。学生に配慮いただきたい」と異例ともいえる要請を行ったうえで、会見を始めた。

 中村知事は「(備忘録は)口頭での報告(説明)のためのメモで、公文書ではないので、今の段階では確認できていない。しかし、ひとりひとりの担当職員に直接聞いた。私も聞いたところ『出席した職員が備忘録として書いた文章であるということが判明した』ので、ご報告させていただきたい」と述べた。

 中村知事はマスコミが報じた文書内容について職員に聞いたところ、そのメモは『自分が書いたものです』と明確に語っている、とし、内容についても職員自ら書いたものなので覚えているとしている。メモした職員は真面目で、しっかり仕事をする職員だと語った。

 備忘録によると、柳瀬総理秘書官は「本件は首相案件となっており、内閣府藤原豊次長の公式のヒアリングを受けるという形で進めていただきたい」「文科省についても、いい大学を作るのであれば反対しないはず」「獣医師会には直接対決を避けるよう、既存の獣医大学との差別化を図った特徴を出すことや卒後の見通しなどを明らかにするとともに、自治体等が熱意を見せて、仕方がないと思わせるようにするのがいい」と発言していたことが記されていた。(編集担当:森高龍二)