加計学園への獣医学部新設を巡り、愛媛県や今治市の職員、加計学園幹部が柳瀬唯夫首相秘書官(当時)らと2015年4月2日に総理官邸で面会した際、柳瀬首相秘書官は、この案件を「首相案件」と発言し、「獣医師会には直接対決を避けるよう、既存の獣医大学との差別化を図った特徴を出すことや卒後の見通しなどを明らかにするとともに、自治体等が熱意を見せて、仕方がないと思わせるようにするのがいい」などと発言していたとする面会記録について、10日の参院農林水産委員会で自由党の森ゆうこ議員が政府の姿勢を追求した。
この文書が存在することを伝えたNHKの報道では「この文書は国家戦略特区の説明資料として、愛媛県が内閣府や文科省、農水省に配った」ことになっており、森議員はこの点から、内閣府審議官らに認識を求めた。
内閣府の村上敬亮審議官(地方創生担当)は「報告書を現状、見たことがない。公文書を管理する役所でもあり、梶山弘志地方創生・規制改革担当大臣からも文書があるのか確認を今朝、指示され、現在、確認作業をしている」とし「できるだけ急げと指示されている。確認中だ」と答えるにとどまった。
また、愛媛県が2015年4月2日の面会記録文書について、相手方(国)があり部分開示としているが、愛媛県が公表しても問題ないとここで発言するよう森議員が求めたのに対し、村上審議官は「愛媛県が条例に基づいて適切に判断されると考えている。国としては愛媛県の文書の取り扱いについてコメントする立場にない」と逃げた。
ただ、森議員の追及に村上審議官は、愛媛県が文書を公開することに対し「国として止める権限も、求める権限もない」と愛媛県が独自の判断で公開できることとした。
今回の文書については、文科省の義本博司審議官(高等教育担当)は「報道を受け、文書を探索したが、現在のところ確認できていない」。農水省の池田一樹消費安全局長は「報道内容について事実関係をしっかり確認していくことにしている」と答えるにとどまった。
齋藤健農水大臣は「報道で初めて知ったことでもあり、こういう文書があるという認識も持っていなかったので、兎に角、事実を確認するよう指示したところだ」と述べた。
森ゆうこ議員は「獣医師にかかわることは農水省が所管だ。農水省が他人ごとでは困る」と指摘した。
そのうえで、森議員は国家戦略特区のWG座長はじめ委員らを参考人として呼び、集中審議を行うよう求めた。岩井茂樹委員長は理事会で協議するとした。(編集担当:森高龍二)