経産省、次世代自動車の戦略会議でEVを重視

2018年04月23日 07:05

画・経産省、次世代自動車の戦略会議でEVを重視

経済産業省が主催する自動車新時代戦略会議では、電気自動車の普及に欠かせない電池の技術開発について官民一体で取り組んでいく方針で一致した。

 自動車産業は日本の経済を支える基盤となっているが、その自動車産業において次世代自動車の戦略についての方向性は非常に重要なものとなっている。そんな自動車産業の戦略について経済産業省主宰で「自動車新時代戦略会議」の会合が開催された。この戦略会議では、電気自動車(EV)の技術開発や資源確保といったテーマに沿って、官民一体で取り組むという方向で進むという方針が固まった。

 自動車産業において、次世代の自動車として注目を集めているのが電気自動車である。実際に、中国をはじめとする海外の国々では電気自動車の研究開発や普及が進んでおり、電気自動車の開発においては日本はやや遅れているという見方が強い。国際的な競争力を強化するという意味でも、電気自動車の研究開発は日本の自動車産業発展において急務ともいえるテーマであり、経済産業省の戦略会議においてもその点は最重要課題となった。

 中でも戦略会議で大きなテーマとなったのが、電気自動車の電池開発である。電気自動車はその名の通り電気を動力として動く自動車だが、そのためには大容量かつ高寿命な電池が欠かせない。高性能な電池はそのまま電気自動車の性能に直結することから、電気自動車の普及が進む海外においては技術開発が進んでいる。特に中国は、車載用リチウムイオン電池において世界的なシェアを獲得しており、逆に日本製のシェアは低下傾向にある。日本の海外における競争力の強化には、新たな技術を投入した次世代型の電池の開発による巻き返しが必須だ。自動車産業の次世代戦略については様々な企業の協力をもとに、官民一体となって取り組んでいく方針で一致した。

 しかし、こうした新たな技術開発については課題も少なくない。電気自動車の電池で劇的な技術革新があったとしても、その電池を活用するためのメンテナンス設備も同時に整備する必要がある。日本ではまだガソリン自動車が主流であり、電気自動車に充電できる施設は決して多いとはいえない。実はこの点は、日本において電気自動車が普及しない要因となっているものであり、ただ単に車載用電池の技術革新だけ求めるとしても、その後の運用面におけるコストなど課題も多いというのが現状である。

 電気自動車は日本だけでなく海外で研究開発が進められており、今後市場がさらに発展していく可能性を秘めている。国際的な競争力強化のためには電気自動車産業を強化することが欠かせない。日本の電気自動車戦略はここからが正念場だといえるだろう。(編集担当:久保田雄城)