アマゾンの送料値上げと通販業者への影響

2018年05月01日 06:05

画・アマゾンの送料値上げと通販業者への影響

ネット通販最大手のアマゾンが送料を値上げすると発表した。物流業界の運賃上昇が主な要因だが、アマゾンの送料値上げを受けて競合他社も送料についての試行錯誤が続く。

 ネット通販の中でもAmazon(アマゾン)は最も有名な通販業者であるともに最大手でもある。それだけにネット通販業界においてもかなりの影響力を持っているが、そんなアマゾンが2018年4月4日の注文分より送料を値上げすると発表した。値上げは最大で5割増しといわれており、ネット通販最大手のアマゾンのこの対応に業界の内外を問わず影響が広がっている。なお、今回の値上げの対象となるのは、アマゾン以外の個人や法人が出品する「マーケットプレイス」と呼ばれる商品であり、これまで2000円未満の注文の場合は一律350円だった送料が、本州四国向けは400円、北海道や九州、離島は440円に引き上げられる。

 アマゾンをはじめとするネット通販は、インターネットの一般家庭への普及とともに多くの利用者を獲得し急成長してきた背景がある。しかし、その裏で実際に注文した商品を配送する運送業者への負担が大きくなり、物流業界における人手不足を招く要因ともなった。人手不足により人件費がかさむことから物流業界の運賃も上昇傾向にあり、2018年1月には宅配便大手のヤマトホールディングス<9064>では運賃の値下げをアマゾンに要請し、アマゾンもそれを受け入れている。通販の運賃値上げは業界全体に広がりつつあり、消費者に対しても負担を求めるケースが増えているが、アマゾンの今回の送料値上げもそれを受けてのことといえるだろう。

 こうしたアマゾンの送料値上げといった動きは、アマゾン以外のネット通販業者にも影響を及ぼしている。主に衣料品の通販を手がける「ゾゾタウン」では、2017年11月よりそれまで送料を自由に設定できたサービスを終了し、一律200円の送料設定とした。カタログ通販を行うベルーナ<9997>でも5000円以上の購入であれば無料となった送料を190円に設定している。いずれのケースも、アマゾンが送料を値上げしたからそれに便乗して値上げした、というわけではなく、運賃の上昇が大きな要因であり、どの業者も送料無料で配送するということが難しくなっていることがわかる。

 アマゾンをはじめとする通販業者の送料値上げについては消費者についても決して無関係な話題ではない。これまで手軽に必要な商品を購入することができたネット通販は、送料無料というサービスがあってこそ発展してきたといえるだろう。それでも値上げせざるをえない事情が出てきた際に、それを受け入れるだけの土壌が消費者側にあるかどうか。アマゾンの送料値上げは、送料を負担することの理解を消費者側に求めているが、今後も安定したサービスを受けるためにはある程度の負担もやむなしと消費者側が理解することも大切だ。(編集担当:久保田雄城)