加計学園・岡山理科大学に獣医学部が創設された経緯で、国家戦略特区制度が活用されたが、当初から「加計ありき」でなかったか、疑惑が払拭されていない中、２０１５年４月２日に加計学園幹部と愛媛県や今治市の職員が総理官邸で、総理秘書官（当時）だった柳瀬唯夫氏と面会した事実があったのかどうか、などを問うための柳瀬氏ら参考人招致による衆参での予算委員会が１０日開かれた。
柳瀬氏は官邸で加計学園幹部と２０１５年２月から３月の間に１回、４月２日、その後も含め、官邸で３回面会したことを認めた。４月２日の面会は加計学園が求めたものであることも分かった。
４月２日の面会時に愛媛県職員がいたかどうかについては「１０人近くの随行者の中に（愛媛県職員が）いたのかもしれない」と述べるにとどまり、明確な認識はなかった旨を答えた。
一方、愛媛県職員の備忘録に記載されていた「首相案件」の発言については、否定した。柳瀬氏は獣医学部創設案件について、加計学園と特定した意味のものではないとしたほか、首相案件と普段から使うことはないとし「首相案件には違和感がある」と述べた。
また、面会時の内容について、元東大大学院教授の吉川泰弘氏が獣医学部の実情について長く説明した、とした。吉川氏は現在、岡山理科大獣医学部部長に就任している。
柳瀬氏は面会することや面会したこと、面会時の内容について、安倍晋三総理には「一切報告していない」と強調。総理から獣医学部新設に関しての指示も「一切なかった」と述べた。総理秘書官が総理に面会の事実や面会の内容を全く報告しないとする答弁には違和感がある。
また加計学園と今治市が一体で獣医学部を求め、加計学園が総理秘書官や総理周辺に積極的に働きかけを行っていたことが今回の柳瀬氏の答弁でも浮き彫りになった。総理が国家戦略特区で加計学園が今治市の国家戦略特区事業者であることを初めて知ったのが昨年１月２０日だった、ということにも疑問は大きく膨らんだ。（編集担当：森高龍二）
