太陽光発電といえば、再生可能エネルギーの中でも特に代表的なものではないだろうか。公共施設での利用はもとより、一般家庭への普及も多く実際の利用者もかなり多いのがその特徴といえるだろう。そんな太陽光発電の設備を取り扱う業者の倒産が2017年度は最多を記録したことが東京商工リサーチの調査で判明した。2017年度の太陽光発電業者の倒産件数は82件となっており、これは前年度と比較した場合20.6%の増加率という。
事業者が倒産する主な要因といえるのが資金繰りの悪化が挙げられるが、これは太陽光発電業者の倒産においても無関係ではない。太陽光発電業者の倒産の要因としては、やはり資金繰りの悪化が大きく関係しているが、それにつながるのが太陽光発電システムの販売不振である。太陽光発電システムは決して安価なものではないものの、一般家庭に既に多く普及していることに加えて一般家庭の新築着工数が減少していることが太陽光発電システムの販売不振につながっていると考えることもできる。
しかし、それとともに大きな要因となっているのが政策の変更である。日本政府は2012年に太陽光発電の普及を目的とした固定価格買い取り制度をスタートさせた。この制度では、その名の通り電力会社が太陽光発電で得られたエネルギーを買い取るというもので、太陽光発電の事業者にとっては利益の拡大を見込んで新規参入する業者が増えた。しかし、その結果増えた事業者の間での過当競争や電気料金の上昇など様々なデメリットを生み出す要因ともなった。電力会社が買い取った電力費用は電気料金に上乗せされる仕組みだったためである。こうした様々な要因が相まって太陽光発電事業者へのコストが増加し、経営に影響を及ぼす業者が増えたことが倒産件数の増加につながっている。
また、太陽光発電を取り扱う業者が倒産することで、施工の不備やアフターサービスの未実施など、利用者への影響も少なくない。太陽光発電システムは専門的な施工が必要であることからどの業者でもできるというわけではなく、その技術を持った業者でなければ施工ができない。倒産してしまうとその後のアフターサービスを受けることもできなくなり、太陽光発電システムのメンテナンスも置き去りとなってしまう。太陽光発電は再生可能エネルギーの中でも身近なものであることから、業者の倒産が多いことは利用者への影響も計り知れない。(編集担当:久保田雄城)