緩やかな景気回復の中で、個人企業、経営環境は悪化している

2017年12月06日 06:43

画・緩やかな景気回復の中て_、個人企業、経営環境は悪化している

総務省は「個人企業経済調査(動向編)平成29年7~9月期結果(確報)」を公表した。現在、日本経済は緩やかな回復局面にあるが、個人企業では売り上げ、資金繰り、在庫、雇用の経営環境は悪化している

 総務省は11月22日、個人企業経済調査(動向編)平成29年7~9月期結果(確報)」を公表した。本調査は、個人で「製造業」、「卸売業,小売業」、「宿泊業,飲食サービス業」又は「サービス業(他に分類されないもの)」を営んでいる全国4000事業所を対象に、その経営実態を明らかにするため四半期ベースで実施されているものである。

 調査結果によれば、全業種の概況として、今期の業況判断DIは(-)57.5ポイントで、前期の(-)56.7と比べ0.8ポイントの悪化となっている。来期の見通しについてのDIは(-)52.3ポイントで今期に比べ5.2ポイント改善の見通しとなっている。今期の業況判断の内訳を見ると「良い/好転」が3.5、「普通/不変」が35.5、「悪い/悪化」が61.0ポイントとなっており「悪い/悪化」が飛び抜けて高い数値になっている。

 「売上の状況」についてみると、「売上状況DI」は(-)45.4ポイントで前期に比べ6.5ポイント、前年同期と比較して0.1ポイント悪化した。来期の見通しについては2.5ポイント改善の見通しとなっている。「営業利益の状況」は「営業利益状況DI」が(-)51.4ポイントで前期に比べ4.3ポイントの悪化、前年同期に比べ0.6ポイント改善している。来期については1.7ポイント改善の見通しである。今期の「製品・商品・原材料の在庫状況DI」は(+)3.0ポイントで、前期に比べ0.5ポイント在庫の「過剰」が拡大している。「資金繰り状況DI」は(-)33.1ポイントで、前期に比べ1.9ポイント悪化、前年同期と比べ1.6ポイント悪化している。「雇用状況DI」は(-)6.5ポイントで、前期に比べ0.5ポイント「不足」が拡大している。

 業種別に「業況判断DI」をみると、製造業で(-)53.1で前期比0.2ポイント悪化、前年同期比1.3ポイント悪化した。卸売・小売業では(-)59.5ポイントで前期比1.1ポイント悪化、前年同期比0.7ポイント悪化している。宿泊業・飲食サービス業では(-)57.7、前期比5.3ポイント悪化、前年同期比2.7ポイント悪化した。サービス業ではDIが(-)56.4で前期比0.7ポイントの悪化、前年同期比0.5ポイント悪化と、全ての業種で業況は悪化している。

 現在、日本経済は外需主導の回復局面にあるが個人企業の業況は極めて厳しい状況にあり、売上の悪化と在庫の過剰、資金繰り困難、人手不足が同時に起こっている状況で、売上不振・資金ショートによる倒産のみならず、人手不足による労務倒産の危険性も存在すると言える。中小零細企業にたいする十分な施策を期待する。(編集担当:久保田雄城)