飲食店の廃業件数、過去最多を更新

2018年02月15日 06:49

画・飲食店の廃業件数、過去最多を更新

飲食店の倒産が増加傾向にある。特に多いのは個人経営の小規模な飲食店の倒産である。こうした小規模飲食店の倒産や廃業については今後も継続するのではないかとの見方が強い。

 2017年の飲食店の倒産件数が過去最多の707件にのぼることが東京商工リサーチの調査でわかった。倒産件数は2016年と比較しても150件の増加となっており、倒産件数が増加に転じるのは2011年以来6年ぶりとなる。こうした飲食店の倒産原因としては業績不振が最も多かったという。また、この調査では倒産した飲食店の多くが個人経営などの小規模の業者であることもわかっている。

 大手企業の参入により個人経営の飲食店が倒産や廃業に追い込まれているということについては古くからある構図となっている。この動きが2017年になり再び加速した背景にあるものは何か。倒産した飲食店707件の内訳を見てみると、いわゆる居酒屋が最も多く133件というデータがある。大手企業による割安な居酒屋の出店により、個人経営の小規模な居酒屋は価格競争に対抗することができず倒産すると考えることができる。

 また、団塊の世代が会社で定年を迎えたという点も大きく関係している。焼き鳥屋やおでん屋を含む居酒屋の主な客層は団塊の世代が中心だがこうした層が引退してしまったことにより居酒屋に対しての需要が激減してしまったというケースだ。居酒屋をはじめとする飲食業というものは客足が回転しなければ利益を出すことはできないし、利益が出なければ営業を続けることは難しくなる。飲食店の倒産件数が増えているのはこうした背景もあるのではないだろうか。

 飲食店の新規出店についても大手を除けば減少傾向にある。飲食店の倒産が相次いでいるということから、飲食店経営に対して希望を見出すことが難しくなっているうえ、飲食店経営のリスクが高いという印象が強まっていることが関係している。大手企業の飲食店についても新規出店こそ増えているものの、飲食業という業種全体でみると売上高は減少傾向にある。市場の活性化を考えた場合、この傾向は決して望ましい状態とはいえない。

 個人で経営する飲食店についての将来を考えると、大手企業とは価格競争になった場合まともに太刀打ちすることはできない。そのため、値段だけではない差別化を図ることが生き残りの道だといえるだろう。とはいえ、個人経営の飲食店すべてがこうした差別化ができるわけではない。大手企業の新規出店に為す術もなく倒産するしかない店も今後はさらに増え続けるのではないだろうか。現在の状況がそのまま続けば、さらに個人経営の飲食店が少なくなっていくとの見通しもある。(編集担当:久保田雄城)