年収1075万円以上の専門職を労働時間規制の対象から外し、成果で評価することから、残業代ゼロ法案とも、働かせ放題法案とも揶揄されている「高度プロフェッショナル制度」の創設を含んだ働き方改革関連法案が31日の衆院本会議で、自民、公明、日本維新の会、希望の党などの賛成多数で可決し、衆院を通過した。自民、公明などは今国会での成立を目指し、参議院での審議を急ぎたい考えだ。
改革関連法案では「正社員と非正規社員の待遇に不合理な格差を禁止する」「時間外労働の上限を年間720時間、月100時間(休日労働を含む)、複数月平均80時間とする」「違反した場合の罰則を設ける」など、一定評価できる部分もある。
一方で、経団連などが求めている高度プロフェッショナル制度については懸念の声が強い。社民党の吉川はじめ幹事長は「残業100時間相当で産業医の面接を受けても、そのまま働かせて200時間になっても良い。月はじめに4日間休ませれば月末までずっと休憩なしの24時間勤務を連日にわたり求めることも法律上可能になる」と懸念。
さらに「年収1075万円の『見込み』としたうえで、所定労働時間を1日24時間労働に設定した契約を交わし、勤務時間実績が契約時間(6264時間)に不足していれば、『欠勤控除』として減額するというやり方も違法ではない」などと制度の問題を指摘する。
また、制度の適用目安とされる「1075万円以上」の年収要件についても、吉川幹事長は「高プロの要件とされる年収1075万円以上も法律事項ではない」とし「日本経団連は年収400万円以上を求めており、塩崎恭久元厚生労働大臣も『小さく産んで大きく育てる』としていた。一度導入されれば、国会審議を通さずに省令で拡大されることは必至」と警鐘を鳴らす。これら、懸念される問題については参議院でより深く、丁寧な審議が求められる。(編集担当:森高龍二)