高度プロフェッショナル制度を盛り込んだ働き方改革関連法案は25日の衆院厚生労働委員会で自民、公明などの賛成多数で可決した。月内に衆院を通し、参院に送付される見通しだ。政府・与党は今国会での成立を目指す。野党は厚労大臣の不信任案を提出するなど抵抗しているが、数の力で不信任案も否決された。
高度プロフェッショナル制度は年収1075万円以上の専門職を対象に、本人の同意を得て、労働時間規制対象から外し、成果で評価する。このため過労死を促す、残業時間ゼロ制度と懸念や批判が強い。自民・公明などは法案を通すため、修正を行い、高度プロ制度適用に同意し、運用後でも労働者本人の意思で離脱できる規定を設けた。
社民党の吉川はじめ幹事長は「働き方はすべての国民に密接に関わる重要課題であり、拙速な取り扱いは許されない。しかも、森友・加計疑惑が深刻になっているにもかかわらず、疑惑の解明にフタをしたまま、長時間労働を助長し過労死を促進する『高度プロフェッショナル制度』の創設を含む悪法を力ずくで押し通そうとする安倍政権の強権的な姿勢は断じて許されない」と批判。「衆議院本会議上程を許さず、今国会での成立阻止へ全力で取り組む」との抗議の談話を発表した。
吉川幹事長は「高プロの要件とされる『年収1075万円以上』も法律事項ではない」と指摘したうえで「。本経団連は年収400万円以上を求めており、塩崎元厚生労働大臣も『小さく産んで大きく育てる』としていた。一度導入されれば、国会審議を通さずに『省令』で拡大されることは必至。高プロについて厚労大臣が要望を聞いた労働者はわずか12人。労働政策審議会において労働側委員も反対意見を付し、連合や全労連、日弁連や労働弁護団、過労死の家族の会も反対を表明している。過労死の遺族との面会を拒否し、働く者が望まない制度を強引に押し通すことは断じて認められない」と高度プロの危険を指摘するとともに、政府・与党の対応を批判した。
また福島みずほ副党首はツイッターで「衆議院厚生労働委員会で高度プロフェッショナル法案・過労死促進法案が強行採決。声が全く聞こえない中での強行採決。無効」と訴え「労働時間規制が一切ない労働者を誕生させれば過労死が増える。傍聴していた過労死を考える家族の会の人たちは涙を流していた。涙の意味を政府や与党は考えるべきだ」と訴えた。(編集担当:森高龍二)