MM総研が11月28日、2012年9月末時点でのブロードバンド回線事業者加入件数の調査結果を発表。ブロードバンド(FTTH、ADSL、CATV、BWA、LTEの合計)契約者数は4543万件となり、回線種別比率では固定系(FTTH、ADSL、CATV)が75.2%、モバイル系(BWA、LTE)が24.8%で、モバイルブロードバンドが急増している。また、現在主流のFTTH(光回線サービス)の加入件数は2319.5万件となり、2012年3月末比で93.2万件の増加となった一方で、ADSLの加入件数は604.1万件で66.4万件の減少となっている。
FTTH市場は、市場全体の純増数が前年同期の81%と鈍化。NTTは、2012年9月末の東西合計の加入件数が1700万件を突破したものの、シェアは合わせて73.4%となり、12年3月末から1ポイント減少している。一方のKDDIグループは、260.7万件と12年3月末から33.9万件の増加、シェアも11.2%と1ポイント増加しており、四半期ベースでは12年7~9月にNTT東西の純増を初めて上回った。2月から開始した「auスマートバリュー」による世帯ベースでの囲い込みとauひかりの戸建て向けエリアの拡大が奏功した形で、同施策の継続により13年3月末には290.0万件(純増63.2万件)を見込んでいる。こうした傾向に対しNTT東日本は、9月からマンション向け「フレッツ 光ライト」や光配線方式の月額利用料を値下げ。さらに、12月から実施する新規加入ユーザー向けキャンペーン「思いっきり割」を軸に、年度末契約数1000万件超をめざすとのこと。またNTT西日本は、10月から1ギガサービス「フレッツ 光ネクスト スーパーハイスピードタイプ 隼」を、既存100M/200Mサービスと同料金で提供開始。さらに12月からは、長期継続利用するほど月額利用料が安くなり、最大33%割引くという「光もっともっと割」でシェアの維持・拡大を図る。なお、ADSL回線事業者の首位はソフトバンクBB のYahoo! BB ADSLとなっており、2012年9月末のシェアは39.1%となったものの、ADSLからFTTHなどへのマイグレーションが進み、各社とも大幅な純減傾向が続いている。
同調査では、FTTH市場は2013年3月末に2405万件、2017年3月末には2840万件となり、12年度~16年度の年平均成長率は5.0%で推移すると予測。一方モバイルブロードバンドは、光回線と同等の通信速度を持つスマートフォン向けLTEが本格的に開始されたことやテザリング利用の増加で普及が一層進み、2013年3月末に2666万件、2017年3月末には1億1004万件へと急拡大し、ブロードバンドに占める比率が13年度中に50%を超え、17年3月末には75.4%に達すると予測されている。こうした状況に、回線事業者はモバイルブロードバンドの影響を無視できなくなりつつあるものの、バッテリーや発熱の問題等もあり、固定回線の安定性や1ギガ等の速度優位性は依然として強いものと言えるであろう。予測通り、そしてモバイルブロードバンド業者の思惑通りにシェアを伸ばすことが出来るのか、注目が集まるところであろう。