トヨタ、いすゞ自動車との資本提携解消・断念、協業開発に進展なし

2018年08月06日 06:22

 いすゞ自動車とトヨタ自動車は、資本関係を解消することに合意し、トヨタは、その保有するすべての株式を今後売却する予定と発表した。

 なお、今後も両社は、要素技術レベルの共同開発を継続するなど良好な関係を維持していくとともに、今後の取引の可能性についても常にオープンな姿勢であることに変わりないとしている。

 2006年11月、いすゞとトヨタは、ディーゼルエンジンを中心とした両社の開発・生産の分野における相互の経営資源の活用や、技術面の補完を図り、相互にシナジー効果を発揮する枠組み、ならびに協業案件の検討を進めることで基本合意し、トヨタはいすゞの株式を5.89%取得していた。

 具体的には2006年に小型のディーゼルエンジン、排ガスの後処理、環境技術の分野で協働することを目的に提携したわけで、大きな協業はヨーロッパ向けの1.6リッタークラスの小型ディーゼルエンジンの共同開発だった。プロトタイプまで出来上がったものの、その後トヨタの方針がハイブリッドにシフトしたこともあり、2008年秋に開発を中断。採用には至らなかった。

 その後、市場環境の変化により当初検討していたプロジェクトが中止になるなど、具体的に協業が進展しないまま現在に至り、そのような事業実態を勘案し、今回、出資関係を見直すという決定となった。

 今回の資本関係の解消に伴いトヨタは保有するいすゞ株をすべて売却。いすゞは、これをすべて買い取る方針。現在いすゞは発行済み自己株の7%を保有しており、トヨタ売却分を取得すると、その比率は12.89%まで高まり、筆頭株主となる。

 トヨタはトラック大手の日野自動車を傘下に持つ。一方、日野は今年4月に、独フォルクスワーゲン(VW)との業務提携を発表している。(編集担当:吉田恒)