1973年の石油ショックは日本に大きな衝撃を与えた。これを契機にエネルギー節約型の産業の構築が推し進められ、10年も経たない79年には既に国の石油備蓄は計画を上回り、民間も80年には計画値を達成している。これを契機に日本のエネルギー政策は原子力発電にシフトしていくことになる。この基礎には民間産業における技術改善のすさまじい努力があった。
今もなお同様の努力が続けられている。大震災後、ほとんどの原発は停止している。その中、円安傾向と原油高騰で日本のエネルギーコストは膨張傾向だ。
8月20日、富士経済が2017年における「業務施設のエネルギー消費実態」に関する調査結果を公表した。業務施設に関しては現在、省エネ・省CO2・コスト削減などを目的に、電気、ガス、その他熱源のエネルギーミックスやストック設備での省エネ機器への更新など、多様なエネルギー提案が行われている。
施設別に総エネルギー消費量をみると、「事務所・オフィスビル」が8億5643万GJ(ギガジュール)で最も高く、次いで「病院」の1億7701万GJ、「シティホテル」の9700万GJとなっている。「事務所・オフィスビル」は1施設当たりの消費量は1171GJで高くないものの施設ストック数が73万1300件と群を抜いて多くなっており、施設規模では延床面積500㎡未満と1万㎡以上が増加し二極化傾向にある。
1施設当たりの消費量では、「データセンター」が9万7629GJで最も多く、以下「シティホテル」、「病院」と続く。1施設当たりのエネルギー消費量の内訳を見ると、空調が44%で最も多く、次にサーバーを含むPC、複合機やプリンターなどのコンセントを経由した消費が24%で照明が20%となっている。空調や照明については小規模施設でも高効率空調やLED照明の導入等によって省エネ化が推進されており、今後もエネルギー消費量の低減化が進んでいくとみられる。
「データセンター」ではICT関連機器で60%を占め、ICT機器単体の省エネ性能は向上しているものの施設の大型化により消費総量は増加傾向にある。さらにICT機器の管理には空調が重要で、この比率が36%にものぼる。
ICT機器のエネルギー効率は向上しているものの、その利用量は今後確実に増大していく。重要なのはエネルギー消費総量である。さらなる企業努力に期待したい。(編集担当:久保田雄城)