森友学園への国有地払い下げをめぐる問題や加計学園運営・岡山理科大学への獣医学部新設を巡る国家戦略特区の不透明さ、加計ありきの疑惑が払拭されないままになっている。行政への国民の不信感は根深く残ったままだ。この問題を踏まえて、自民党総裁選挙に立候補している石破茂元幹事長は切り込んだ対策を公約にあげている。
石破氏の「官邸の信頼回復」のために(1)内閣人事局の運営方法を見直すとし、外部専門家の登用も含めた人事局人事の刷新を図るほか、人事考課に関する基準、プロセスの明確化、外部有識者による監視、事後検証制度を創設するとした。
また国家戦略特区の経緯の不透明さが加計疑惑で常に付きまとったが(2)官邸主導の政策推進プロセスの透明化を図るため、制度設計と認可などの明確な分離を図る。各省庁においても同様の対応を図る。与党の政策チェック機能を強化するとした。
森友問題、加計疑惑では利害関係者との接触が特に公平・公正な行政に疑惑を生じさせていることから(3)利害関係者との接触ルールを明確化する、としており「接触記録の作成・保管を義務化する」「大臣などのスタッフや親族などについてのルールも明確化する」とした。
こうしたルールが確立しておれば、森友・加計のような問題発生防止とともに、発生した場合も国民が納得のいく説明や客観的証拠としての証明に少なからず繋がった可能性が高い。
石破氏は国会の信頼回復についても(1)行政監視機能強化のため、行政に対する情報収集権限を有する「議会設置型オンブズマン制度」の創設や行政府の倫理上の問題を集中的に議論する場の創設をあげた。(2)国会運営では党首討論の定期開催、憲法改正論議の進め方に関する申し合わせをあげた。
行政に関しては(1)公文書管理の在り方を改善するため、全省庁に外務専門家を任期付任用し、公文書管理官を配置、国会への報告義務を負わせる。また(2)公文書について原則、電子媒体管理システム上で行うことを義務化し、改ざん不可能なデータ保存化を図る。石破氏は、このほか(3)全省庁に法令等遵守調査室を設置(室長は外部専門家)し、官邸の下に各省庁の法令順守調査室長の連絡会議を設置することもあげている。(編集担当:森高龍二)