事実上の「総理選挙」安倍、石破両氏の一騎打ち

2018年09月07日 16:49

 事実上の「総理選挙」となる自民党の総裁選挙が7日告示され、3選をめざす安倍晋三総裁と元幹事長の石破茂氏の一騎打ちとなった。20日の投開票で新総裁が決まる。

 もともと候補同士の共同記者会見や討論会が少ない中で、北海道胆振(いぶり)地方中東部を震源とする最大震度7を記録した地震被害への対応を優先する必要から、告示日に予定されていた候補による所見発表演説や共同記者会見が取りやめになり、国民に分かりやすい論戦の機会が少なくなった。

 安倍総裁(総理)は憲法9条に自衛隊を書き込む憲法改正に積極発言を続けており、総理としての場であるにも関わらず自衛隊高級幹部合同でも「長きにわたる諸君の自衛隊員としての歩みを振り返るとき、時には心無い批判にさらされ、悔しい思いをしたこともあったかもしれない。自衛隊の最高指揮官、同じ時代を生きた政治家として忸怩(じくじ)たる思いだ。強い誇りを持って任務を全うできる環境を整える」と憲法9条への自衛隊明記を意味する発言をしている。

 一方、石破元幹事長は「スケジュールありきでなく、他党と丁寧な議論を積み重ねる」と衆参両院の憲法審査会で他党との合意形成、国民の理解を得られることに重視して取り組んでいくべき事案であるとの考えだ。

 また、石破氏が政治姿勢に挙げた「正直・公正」に対して党内から「個人攻撃」などと批判がでるような異様な状況で、森友問題、加計学園疑惑、財務省決裁文書改ざん、国会での虚偽答弁など一連の問題に、高級官僚の人事権を握る「内閣人事局」の在り方も背景として上がっており、石破氏は、国民の行政への信頼回復へ「内閣人事局の見直し」も公約にあげ、国家戦略特区の運営など官邸主導の政策推進プロセスの透明化を図ることを約している。

 安倍総裁は公文書管理の徹底、改ざんの再発防止などをあげているが、経済産業省が「個別の発言まで記録する必要はない」などと折衝議事録不要のとんでもない内部文書を作成していたことが明らかになるなど、政策決定過程の検証をするために必要な資料が骨抜きにされる対応が浮かび上がっている。正直な政治、透明な行政運営の徹底が必要になっている。

 安倍総裁、石破元幹事長の論戦などが本格化するのは週明けからになるもよう。新総裁の任期は2021年9月まで。(編集担当:森高龍二)