第三セクターの経営については不正も含めその不適切な経営状態がたびたびニュースになっている。そもそも第三セクターは株式会社形式などをとりながらも営利目的ではなく公共の利益を目的に設立されたものがほとんどだ。
旧国鉄やJRでの赤字路線を地域住民の利便性の観点から半官半民で運営するというのが第三セクターの典型である。言ってみれば、はなから利益の出にくい分野を担っているのが第三セクターであり経営状態の悪化が表面化するのも時間の問題であったとも言える。
2日、東京商工リサーチが全国の「第三セクター等」7503法人の経営状況(2016年度決算)について調査した結果を公表している。この調査のデータは総務省の「第三セクター等の出資・経営等の状況」に基づく。
調査結果によれば、16年度における全国の「第三セクター等」の数は7503法人となっており、この10年で減少した法人数は1396社で、率にすると15.7%減少したことになる。
政府は経営改善の方向で抜本的改革を推進しており、一部で経営改善の方向もみられるが債務超過の状態にある法人は未だ245法人にのぼる。「経常赤字法人率」は36.6%で前年度より1.1ポイント上昇し、「債務超過法人率」は3.9%で前年度比0.1ポイント上昇となっており、減少傾向が続いていたここ10年で初めて前年度比がプラスへと反転している。
16年度中に地方自治体から第三セクター等に支出された補助金の総額は5686億円となっており、自治体からの借入や損失補償、債務保証、出資金の総額は12兆2,693億円にのぼる。
09年度に政府は「第三セクター等改革推進債」を導入するとともに経営改善が見込めない第三セクターについては整理を積極的に推進する方針に出た。その結果07年度に8899法人であった第三セクター等の総数は16年度の7503法人まで一貫した減少傾向で推移している。
地方の人口減少が止まらない以上、全体としては経営健全化の方向は困難なものがある。しかし、もともと第三セクターは地域の利便性等の公共目的で設立されたものであり、安易な整理は地域の利便性を大きく損ない地方の過疎をさらに助長する。地方自治体の財政健全化とバランスをとらないといけないが、きめの細かい対応を期待する。(編集担当:久保田雄城)