明治維新後150年、特別企画展「日本を変えた千の技術博」、国立科学博物館で

2018年11月04日 08:57

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世界に誇る科学技術をつくり出した製品や技術や当時の世相にまつわるトピックスを取り上げるコーナーに展示されている「二式一一五○馬力発動機」、かつての日本の先端航空技術を示す、中島飛行機製のエンジン。所蔵:国立科学博物館

 東京・上野の国立科学博物館と日本経済新聞社、BSテレビ東京は、2018年10月30日から2019年3月3日まで、今年が明治元年から起算して150年の節目となることを記念して、特別企画展の明治150年記念「日本を変えた千の技術博」を開催している。

 この企画展では、幕末から明治初期における西洋技術との出会いから、大正・昭和・平成に至るまでの社会や暮らしを変えてきた科学・技術遺産が全国各地から大集合し、600点以上の展示物がJR上野駅公園口の国立科学博物館会場に並び、科学者・技術者、発明・発見にまつわるエピソードや世相、関連する写真などの資料を交えて「日本を変えた千(1000)の技術」を紹介している。

 日本各地の大学や研究機関、企業などから集まった貴重な科学技術の遺産の展示には、「重要文化財」や「化学遺産」「機械遺産」「情報処理技術遺産」「でんきの礎」「未来技術遺産」に認定された資料は特に注目だ。と同時に、科学者・技術者の発明・発見にまつわるエピソードや世相、関連する写真など魅力的な展示となっている。

 なかでも、日本の産業を変えた技術を展示したコーナーでは、自動車や電車、飛行機、船舶の発達が人とモノの流れを変え、産業を発展させたことが細やかに展示されている。すべてが人力や動物の力に頼っていた江戸時代から、わずか150年の間に起きた変化をダイナミックに見せている。イギリスで18 世紀後半にはじまった産業革命は、蒸気の力を利用して鉄の機械を動かして大量生産を可能にした。

 明治維新後、新政府はさっそく諸産業に取り入れようと努めるが、船舶や航空機の分野で日本が欧米に追いつくのは昭和になってからだ。自動車などの工作機械が海外で認められるようになり、現在、先端産業を担う国内の多くの工場では、ロボットが働き、AIによるクルマの自動運転も始まろうとしている。

 この展示コーナーでは、初期のタービンやスターリングエンジンのほか、電気自動車や国産初の旅客機「YS-11」などの航空機、小惑星探査機はやぶさに関する資料、鉄道の電化に関する資料、産業用ロボットを中心に紹介している。

 国立科学博物館では、今回の企画展を分かりやすく開設する音声ガイド機を用意して展示を見ながら「日本を変えた千の技術博」を聞くことができる。ナレーターは男優の松重豊氏で、明治から大正、昭和、そして平成と日本を変えてきた科学・技術のさまざまなエピソードを味わい深くご紹介している。

 同博物館の休館日、今回の特別展の入場料、その他は同博物館のHPで確認されたし。(編集担当:吉田恒)