海外に比べてキャッシュレス化が遅れている日本であるが、その原因の一つとなるのが不正利用への懸念だろう。現金のように目に見える物ではないため、自分の知らない所で財産を盗まれるのではないかと不安に感じてしまう人も少なくないはずだ。
クレジットカード犯罪にはいくつかの種類がある。その中でも最も古典的な方法と言えるのはカード本体の盗難だ。盗み出されたカードを悪用されてしまうケースであり、日常使いをしていないカードの場合は被害の発覚が遅れる事もある。
あるいはカード本体が手元になくても、カード情報が盗み出される事によって身に覚えのない高額請求を受ける事もある。カード情報の盗み出しについてはスキミングやフィッシング詐欺が一般的に知られているだろう。スキミングは専用の機械にカードを通して情報を盗み取る犯罪だが、フィッシングに至ってはカードそのものに触れる事さえなくネットを介して情報を抜き取れてしまう。近年はこのようなカード情報の盗難が急増しており、普段の何気ない行動によって被害を受ける危険性もある。
日本クレジットカード協会が行っている統計調査によれば、クレジットカードの情報盗難に関する2017年の被害額は過去最多であった。被害の総額についてはおよそ236億円であり、このうち情報盗難による不正利用は177億円にも及ぶ。16年の同被害額に比べると約2倍である。
カード番号や暗証番号の盗難被害は不正利用被害全体の74.8%を占めているが、その背景の一つにはネットショッピングの普及があるとも推測される。総務省の調べによると、02年には5.3%だったネットショッピング利用率が16年には27.8%にまで増加している。クレジットカードを持っていても店頭では一切使わず、ネットショッピングの時のみ利用している人も多いだろう。確かにネットショップであればカードの盗難や紛失の恐れはない。しかいサイトを経由してカード情報が盗まれれば不正利用は簡単にできてしまう。
カードを利用するなら不審な情報入力の誘導には従わず、習慣的に明細の確認をする必要もある。万が一情報が盗まれても早期発見と適切な対処ができれば被害を最小限に抑える事が可能だ。カードの扱いに慣れているとは言えない日本人であるからこそ、知識を身につけたうえで自己防衛を図っていかなければならない。(編集担当:久保田雄城)