2019年10月に迫った消費増税への対策として、政府はクレジットカードなどのキャッシュレス決済を行った顧客に対してポイントによる還元を検討していることが明らかになった。現在現金決済が主流となっている中小小売店に限って増税後数ヶ月間にわたって実施する方針で、中小小売店のキャッシュレス化も促進したい考えだ。
消費増税によって消費の落ち込みが懸念される中、キャッシュレス決済で2%の増税分をポイント還元する対策は一定の効果を得るだろう。というのは日本人はポイント還元を好む傾向があり、キャッシュレス決済によって増税分が相殺されるとなれば、多くの顧客が利用すると予想されるからだ。しかもシステムが複雑になるのを防ぐため、軽減税率が適用されて増税されない品目に対してもポイント還元が実施される。キャッシュレス決済にはクレジットカードだけでなく、電子マネーやQRコードなども含まれており、増税分として貯めたポイントでさらに消費活動が活発になる可能性もある。いまだに現金決済が主流となっている中小の小売業や飲食サービス業は全国に120万以上あるとされており、今後キャッシュレス決済導入が増加するか注目される。
しかしポイント還元の効果を疑問視する声も根強い。その一つの理由がキャッシュレス決済によって生じる手数料と端末の設置料だ。増税後のポイント還元の際には端末が配布されるため端末の設置に費用はかからないが、手数料は大きな問題になりうる。飲食店の場合は一般的に5%程度の手数料をカード会社に支払っており、キャッシュレス決済導入の大きなハードルとなっている。ポイント還元の期間が終了した後もキャッシュレス決済を利用し続けられるかはわからない。さらにクレジットカードを作れず消費増税の影響を最も受ける貧困層はポイント還元の恩恵が受けられないことになる。
キャッシュレス決済の割合が2割程度の日本は世界各国から後れを取っていることは事実だ。また消費増税の反動で消費が極端に落ち込むことを避けることも必要だろう。そのためにポイント還元という方法はある程度有効であると考えられる。しかしそのしわ寄せを中小小売店や貧困層だけに負わせるのではなく、公平に負担するための方法を考えることが求められているのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)