自動車にかかる税には様々なものがあるが、自動車関連税を巡る攻防が激化している。現在延長されている自動車関連税の減税措置の恒久化を求める自動車団体や経済産業省に対し、税収の減少を危惧する総務省・財務省との間で綱引きが行われているのだ。自動車税は貴重な地方財源ともなっており、安易に減税の恒久化に踏み切れないことも問題を複雑にしている。
自動車関連税には自動車税・軽自動車税、重量税、自動車取得税などが含まれる。自動車税・軽自動車税は用途や排気量などによって税額が変わるもので、自家用軽自動車だけは一律1万800円と定められている。重量税は自動車の重さに課せられる税で、自家用車の場合500キログラムごとに年間4,100円が課せられる。一方で軽自動車は実際の重量に関わらず一律年間3,300円となっている。加えて新車を購入した場合には購入金額の3%分の取得税を納めなければならない。
こうした自動車関連税に対し国は主にエコカー減税とグリーン化特例という二つの減税を行ってきた。自動車取得税や自動車重量税の減税や免税が受けられるとともに、グリーン化特例では一定期間以上経過した自動車に対しては重税されるシステムだ。初期費用だけでも数万円から十数万円の減税となるため、消費者にとっては大きなメリットのある減税となってきた。自動車団体や経済産業省は2019年10月に予定される消費増税で大きく自動車需要が冷え込むことを懸念して、これらの減税措置の恒久化を要求している。自動車業界は諸費増税によって年間販売台数が約30万台減少するという試算を行っており、増税のあおりを受けないようにと必死だ。一方で財務省・総務省は自動車関連の税収のほとんどが地方に配分されることを踏まえ、減税の恒久化によって財源が失われることを懸念し調整は難航している。
自動車の減税措置の恒久化は確かに自動車を保有者にはメリットがあり、業界にも好影響を与えるだろう。しかし恒久化により地方の財源が減少すれば、その分を住民税など他の税に転嫁せざるを得なくなる。自動車関連税の減税を恒久化するための財源を確保できるかどうかを自動車団体や経済産業省を含め慎重に検討すべきだろう。(編集担当:久保田雄城)