日本人は膵臓機能が弱く糖尿病になりやすい体質であるらしい。糖尿病の原因は多くの病気と同様に遺伝的体質と環境因子で、環境因子には炭水化物などを含む食事の摂り過ぎや運動不足などがある。近年では欧米人でも食習慣の変化や運動不足などによって糖尿病に罹患しやすい体質の者が増えているらしい。もともと遺伝的に膵臓機能が弱い日本人であればなおさらだろう。
糖尿病とはインシュリン分泌機能が低下し血糖値が慢性的に高くなる疾患だ。検査は空腹時での血糖値の計測によって行われ、食後でないにもかかわらず血糖値が高い場合、糖尿病が疑われる。しかし、この検査だけでは発見できない血糖値の異常な状態が今注目されている。それは「血糖値スパイク」と呼ばれるものだ。
リサーチ業のトレンド総研が今月のWHO「世界糖尿病デー」に関連し「血糖値スパイク」に関するレポートを発表した。レポートによれば、「血糖値スパイク」とは食後の短時間のみ血糖値が急上昇し、普段は異常が見られない状態のことだ。このため通常の検査ではこの異常が発見されにくいのだそうだ。しかし、これを放置しておくと糖尿病はもとより、認知症、心臓病、がんにも罹患する危険性が高まる。この症状を持っていると推定される日本人は1400万人以上で9人に1人が「血糖値スパイク」を持っているということになる。
「血糖値スパイク」は食後にインシュリンの働きがうまく機能しないために生じる一過的で異常な高血糖状態である。この症状を持ちやすい因子としては「40歳以上」、「喫煙者」、「酒好き」、「甘いもの、炭水化物を多めに摂る」、「早食い」、「不規則な食事」、「夜食」、「肥満」、「運動不足」、「睡眠不足」などで、不適切な生活習慣がインシュリン機能を低下させるようだ。
「血糖値スパイク」を抑制するためには「丼ものや麺類など糖質を多く含む食事は控える」、「食事の最初に食物繊維が豊富な野菜をとる」、「食事は1日3回、毎日できるだけ同じ時間にとる」など食事習慣の改善が重要とのことだ。また運動がインシュリン機能を強化するので全身の筋肉を用いるウォーキングなどが効果的ということだ。1回30分以上、少し心拍数があがる程度のウォーキングを週に3回程度でよい。
「血糖値スパイク」については糖尿病専門医のいる医療機関で診断を受けられる。親族に糖尿病患者がいる、ここ数年で急激に太ったなどという人は専門医を受診したほうが良いとレポートでは薦めている。(編集担当:久保田雄城)