ケール(Brassica oleracea var. acephala)とは、南ヨーロッパ原産のアブラナ科でキャベツやブロッコリーの原種にあたり、β-カロテン、ビタミン C、カルシウム、ルテイン、葉酸、そしてミネラルを豊富に含んでおり栄養価の高い緑黄色野菜である。海外では葉物野菜として広く消費されているが、日本では青汁などの健康食品として野菜不足解消や健康維持を目的に利用されており、生活習慣病等に関する研究も行われているという。
生活習慣病の一つである糖尿病は、正常であれば食後に高くなり空腹時には低下する血糖値が、空腹時も高い状態のままとなるもので、糖尿病予防のための血糖値コントロールが着目されている。特に、食後に血糖値が急激に高くなる状態(食後高血糖)が糖尿病へ進展するリスクになると言われており、最近では食事の際に野菜を先に摂取するなど、食後血糖値の急激な上昇をコントロールすることが着目されている。
キューサイは、ケールの健康効果の検証として、血糖値が高めの方を対象とした食後血糖値に対する効果を検証し、ケールの摂取が食後血糖値の上昇を抑えることを確認した。
検証では、21~64 歳の男女で血糖値が高めの人(空腹時血糖値が 125 mg/dl 以下、食後 30 分時点の血糖値が140~187 mg/dl の人)、42 名を対象に、プラセボまたはケール粉末[低用量:ケール粉末(7 g)、高用量:ケール粉末(14 g)]を炭水化物が多く含まれる食事(親子丼:炭水化物…115.6 g)と同時に摂取し、摂取後30~120 分時点の血糖値を測定した。
その結果、ケール粉末を摂取した人の食後血糖値の上昇は、プラセボを摂取した方と比較して、摂取60分後において有意に抑制された。また、摂取後2時間の血糖 AUC値はプラセボを摂取した人と比較して、有意に抑制されたという。
これらの結果のメカニズムを検証するために、ケールに含まれる食物繊維に着目し、ケールの食物繊維が、腸内での食物に与える粘度を検討した。その結果、ケール粉末を加えることで粘度が上昇し、その食物繊維のみでは、さらに粘度が上昇した。これにより、ケール粉末摂取による食後血糖値の上昇抑制効果のメカニズムは、ケールに含まれる食物繊維により、腸内での食物の粘度を上昇させることで、糖の吸収を抑制したのではないかと同社では考察しているという。
ケール粉末は血糖値が高めの人の食後血糖値の上昇を抑制することが分かり、その有効量は7 g以上であることが確認された。また、そのメカニズムはケールに含まれる食物繊維による糖の吸収抑制作用であると考えられるとしている。(編集担当:慶尾六郎)