入管法改正案衆院通過に野党批判と懸念

2018年11月28日 12:29

 外国人労働者受け入れ拡大を図る出入国管理法改正案が政府の期待通り、27日夜の本会議で採決され、自民、公明と維新など賛成317票、立憲、国民、共産、社民、自由など反対136票の賛成多数で衆院を通過。審議は参院に移された。

 課題だらけの法案の衆院通過に野党からは批判が相次いでいる。国民民主党の玉木雄一郎代表は「空前絶後の欠陥法案が通った」と強く懸念した。玉木代表は受け入れる外国人数や分野の限定が法律案に明記されていないことが恣意的な行政と利権の温床になる可能性があることも提起した。

 日本共産党の志位和夫委員長はツイッターで「首相の外遊日程を優先させ、国会を愚弄する暴挙に強く抗議する!」と抗議したうえで「法案の狙いは奴隷的労働を強いられている技能実習生を、より短期の、いつでも使い捨てのできる雇用調整弁として使い続けようというものだ」と重大な問題法案だとした。

 社会民主党の吉川はじめ幹事長も「どの職場にどれくらいの外国人労働者を受け入れるのかの詳細や『特定技能1号・2号』に求める技能水準はどの程度で、どんな試験をいつどこで行うのか、日本語教育や住宅、医療機会の確保など外国人の生活支援や日本人と同等以上の待遇を誰がどう保証するのかなど、制度の根幹を全て法成立後に先送りした前代未聞の欠陥法案」としたうえで「民意と国会を無視した憲政史上の一大汚点と言うほかない」と非難した。

 また吉川幹事長は「すでに日本が多数の外国人労働者を受け入れている現実がある以上、その権利保護と生活支援、劣悪な雇用環境の一掃が何より優先されなければならない。給与不払いや最低賃金以下の低賃金、長時間労働など違法行為が横行する技能実習生の現状を放置したまま、屋上屋を重ねるような新在留資格を創設するのは断じて許されない」との談話を発表した。(編集担当:森高龍二)