入管法改正へ与党維新ら賛成で衆院通過、参院へ

2018年11月28日 08:53

 来年4月施行を最優先に、政府と自民・公明は外国人労働者受け入れ拡大へ、27日夜、衆院本会議で出入国管理法改正案の採決を強行し衆院を通過させた。法の見直しを1年短縮し「施行から2年」とした日本維新の会は与党と協議が整ったことから賛成に回った。今国会での成立を目指す。法案は事実上の移民受け入れ政策の大転換につながる可能性を秘めており、労働市場のみでなく影響が出ることが懸念されている。

 安倍政権は日本経済団体連合会の要請のまま、失踪技能実習生の聴取でも明らかになった「契約賃金以下」や「最低賃金以下」「長時間労働」「ハラスメント」など違法な労働環境の改善策や外国人労働者が抱える問題解決への具体的担保策も示さないまま新制度創設へ強行姿勢を変えておらず、数の力で押し切る構え。審議の舞台は参院に移る。

 衆院本会議で反対討論に立った立憲民主党の山尾志桜里議員は「今回の外国人材受け入れ拡大法案は、およそあらゆる労働について、人数の上限なしに、潜在的永住者として、受け入れ拡大を可能とする法律として成立する」大問題と指摘。

 山尾議員は「成立後にどんな枠付けをするのか、時の法務大臣の采配ひとつになっている」ことをあげ「立法府の一員として、外国人受け入れ制度、すなわち日本政府以外の国際社会がおよそ『移民政策』と呼ぶものの根幹を、法務大臣に丸投げすることはできない」と強く訴えた。

 そのうえで山尾議員は(1)受け入れ総数に上限枠・総量規制を制度としてしっかり設けるべき(2)人員、予算をつけて新しい役所をつくるのなら入国在留管理庁ではなく省庁横断機能を持つ『多文化共生庁』をつくるべきだと提案した。

 山尾議員は「大豆やトウモロコシの輸入と違い、国内供給が増えたら輸入ストップというわけにはいかない」とも指摘。「人間を国家に受け入れる話であり、目先の経済や支持母体の顔色ばかりを見て、きちんと制度設計せずにドアを開けたら、簡単に閉じることはできず、取り返しのつかない分断を生む。きちんと制度設計するための議論を続け成熟させるのは国会の責務だ」と来年4月施行とおしりを切った拙速な対応を避け、熟議を求めた。(編集担当:森高龍二)