外国人労働者受け入れ拡大のための出入国管理法改正案の議論でマスコミ報道から埋もれているが、安倍内閣が進める規制改革が日常の暮らしに最も影響を与える「水道水」についても行われようとしている。4日には参議院厚生労働委員会で採決することが理事懇談会で決まった。政府・与党は早期に参院を通過させ、衆院に送り、今国会成立を狙う。
水道法改正案は「自治体が水道施設を所有したまま、水道事業の運営権を民間企業に設定する『コンセッション方式』を導入する」もので、水質の安全性が完全に担保されるのか、料金はどうなるのか、民間事業者が『水道水』を管理することに強い疑問や不安、懸念が出ている。
コンセッション方式に反対している社会民主党の福島みずほ副党首は水道水の品質や料金問題にとどまらず「運営権は売却が可能で、水道が投資対象・金融商品になってしまう」との問題も提起してきた。
福島副党首は「(委員会での法案採決に)もちろん大反対した」とツイッターに書き込み「理事懇談会で(それでも採決することを)決められてしまった。4日は朝10時から2時間半質疑。与党は質問をしないので短くなった。時間はあるのだから1日6時間徹底審議すべきと主張したが決定された」と発信した。水道事業の運営を民間事業所がやることの問題からパリ市やベルリン市は「再公営化」を行っている。
水道水改正案はすでに先の国会で衆院可決していることから、今回、参院を通過した場合、衆院に法案が送付されても深い審議は期待できず、今国会での可決、成立の可能性が高い。ただ、この法案が抱える課題や懸念を解消するだけの議論は国民にはほとんど伝わっていない状況だ。(編集担当:森高龍二)