自治体が水道施設を所有したまま、水道事業の運営権を民間企業に売却する道を開く『コンセッション方式』導入の水道法改正案が4日の参院厚生労働委員会で自民、公明と維新の会などの賛成多数で可決された。
コンセッション方式導入で水道料金の上昇への懸念や水質の安全性確保が完全に担保できるのか疑問の声は強い。改正案に反対した社会民主党の福島みずほ副党首は「コンセッション部分は削除すべきだ」と訴えた。
福島副党首は「水道こそ、公共事業としてやるべきこと。すべての人に関係する問題だ」と訴え「水の運営権を売却するものであり、利潤を追求し利潤がなければ撤退する民営化、そうしたコンセッション方式に賛成することはできない。外資系企業や大企業などに運営権を売るものであり、容認できない」と指摘した。また水道事業の民営化について、内閣府も厚労省もまともな調査をしていない、と指摘した。
しかし、法案は賛成多数で可決された。これに伴い「付帯決議案」が提出され、決議された。決議では「民営化したのちに再公営化した(パリ市の事例など)事例の検証を含めて総合的な施策を講ずること」。
また「水道施設運営権の設定については、水及び水道施設が国民共有の貴重な財産であることや重要な生活インフラであることに鑑み、水道事業に外国資本が参入する可能性や将来に料金が高騰したり、サービス品質が低下したりする可能性に留意し、その決定には、厳に地方公共団体が住民の意思を十分に踏まえた上での自主的な判断にゆだねられるべきであることを大前提に、公正・公平な手続きや透明性を十分に確保した民間事業者の選定を含め、公共性及び継続性に十分に留意したものになるよう地方公共団体において検討すべき事項の具体的な指標を本法施行までに明示すること」などを入れている。
法案はさきの国会で衆院可決していることから、政府与党は参院本会議での採決を早々にすませ、衆院に再送したうえで、審議ののち、今国会での可決、成立を図りたい考えだ。(編集担当:森高龍二)