エクスペディア・ジャパンが有給休暇の国際比較調査を実施。日本の有休取得率は19カ国中最下位の50%。日数でも米国、タイと同じ10日で最下位。有休取得に罪悪感は58%でトップ。上司が協力的は43%で最下位。
現在、多くの企業が政府の提言した働き方改革に取り組んでいる。人手不足という背景も追い風になって、多様性を考慮した働き安い職場への改革は一定の成果をあげているようだ。女性、高齢者、障がい者の就業率も上昇傾向で、この実績の一部も働き方改革の成果であろう。
働き方改革の目玉は何といっても長時間労働の是正であるが、この点ではあまり大きな成果が出ているとは感じられない。時短が進まない一番の要因は深刻な人手不足が続いているからであろうが、それだけでもないようだ。
エクスペディア・ジャパンが有給休暇の国際比較調査を実施し、その集計結果を10日に公表している。これを見ると、有休取得率では日本は50%で主要19カ国の中で最下位になっている。ワースト2位のオーストラリアが70%なので日本は断トツで取得率が低いことになる。
率ではなく取得日数でみても日本は10日で、タイ、アメリカと同日数の最下位だ。ちなみにトップのブラジル、フランス、スペイン、ドイツは取得率100%、日数は30日だ。続くイギリスは96%の25日、イタリアは75%の21日でヨーロッパ諸国が上位を占めている。
「有給休暇取得に罪悪感のある者の割合」をみると、日本が58%でトップ、次いで韓国が55%で、日本と韓国が3位のシンガーポール42%より10ポイント以上差を付けて断トツで高くなっている。「より多く有休をもらう権利がある」と答えた者の割合は、日本が54%で最下位に対し、韓国は78%と、ここでは日本と韓国は大きく違っている。
「休み不足」と感じている日本人の割合を世代別に見ると、18~34歳では62%、35~49歳では61%であるのに対して50歳以上では40%と世代により大きな格差がある。日本では一般に経営層や管理職の世代である50歳以上で休みを必要と感じている者が少ないようだ。
「上司が有休の取得に協力的」と回答した者の割合をみると日本は43%で断トツの最下位。これは先の結果と合わせてみると上司が休みの必要性を感じないので部下の有休取得をあまり快く思わないという空気があるのではないか。
日本人が休みを取らない理由を見ると、1位は「人手不足」となっているが、また2位が「緊急時のため取っておく」、3位が「仕事をする気がないと思われたくない」となっており、やはり職場の空気を気にする傾向がうかがえる。
都合の良い時間に働ける等、非正規を中心に多様性のある働き方ではある程度の成果が出ているようだが、長時間労働の是正といった点では正規を中心に成果が出るまで今しばらく時間がかかりそうだ。(編集担当:久保田雄城)