企業ガバナンスの重要性が指摘されるようになってから久しい。グローバル化する経済の中でガバナンスの確立はグローバルスタンダードの一つであると言ってもよい。政府もこうした背景を受け「上場企業や非上場の大会社に社外取締役の設置を義務付ける」法制審議会の会社法改正案を国会に提出し、2020年の施行を目指すとしている。企業側でも流動化し複雑化する経営環境の中で専門的スキルを持った経営者を外部から調達する方向にシフトしているところが少なくないようだ。
エン・ジャパンが1月上旬に自社サイトを利用する転職コンサルタント103名を対象として「経営者の採用」についてアンケートを実施、その結果の概要を公表している。
「経営者(代表取締役や取締役、CEO、CIOなど)の求人の動向について聞いたところ、「増えている」が29%、「変化なし」63%、「減っている」8%という結果で、「増えている」が「減っている」を上回った。
企業のタイプを複数回答で聞いた結果、「ベンチャー企業」が53%で最も多く、次いで「中堅・中小企業」47%、「外資系」28%の順であった。業種について複数回答を見ると、「IT・インターネット」が47%でトップ、次いで「メーカー」の46%、「流通・小売・サービス」24%という結果であった。
需要が多い経営者候補の特徴について聞いた結果は、年齢層では40代後半が60%で最も多く、次いで「40代前半」の50%、「50代前半」49%という順で40歳から54歳に需要が集中しているようだ。候補者の年収については、複数回答で、「1000~1199万円が44%でトップ、「800~999万円」41%の順で800~1200万円の年収の者に集中している。
求められる資質については、募集の理由が「新規事業や拠点立ち上げなどによる新ポジションの募集」が67%でトップという背景もあり、「将来ビジョンを掲げられる資質」が61%と最多になっている。
経営者求人の今後の動向については、「増えていく」との回答が56%にのぼり、「変わらない」が39%、「減っていく」が5%となっており、「経営者の就業が流動化していく」と見込んでいるようだ。
また、「社外取締役」、「監査役」の求人についても「増えていく」と回答している者が18%おり、レポートでは「ガバナンスを意識する会社が増えた」、「事業スピードの加速により、社外からノウハウを取り入れたい企業が増えている」などが要因であると分析している。(編集担当:久保田雄城)