少子高齢化が進む中で住宅取引は頭打ち傾向で推移してきた。かつては新規住宅着工が日本経済の牽引役であったが今ではそうした現象は見られない。日本の住宅はもともと木造が中心であったが戦後木造以外の耐久性の高い住宅が多く作られてきた。1981年の新耐震性基準は日本の住宅の耐久性を飛躍的に増大させたと言って良い。
こうしたことを背景に2010年代以降中古住宅の取引は増加傾向で推移している。高齢化の進展と住宅を資産形成の一つと考える意識の高まりも背景にあるだろう。政府も中古住宅市場の活性化を図るため安心Rマーク制度を導入している。ここでの基準の一つとなっているのが81年耐震性基準だ。
不動産関連事業のリビン・テクノロジーズが2018年中に査定依頼のあった中古物件データをもとに「売りたい市区町村ランキング 2019」として全国市町村ごとの中古不動産の売却意欲を推計し、その結果を12日に公表している。
集計の結果、売却のために査定依頼のあった物件の所在地のトップは千葉県の船橋市であった。前回と前々回の16年、17年では東京都の世田谷区がトップであったが今年4~8月、11月にトップとなったものの年間では船橋市が世田谷区を上回り2位となった。レポートでは「船橋市は、JR船橋駅周辺の土地が5年連続県内最高価格を付け、県内外からの人口流入が続き、区画整理や再開発など新陳代謝が進んでいる」ことが背景にあるとみている。
前回と比べると足立区、大田区、練馬区、鹿児島市が引き続き上位に来ているほか、江戸川区、八王子市、川口市、宇都宮市などの住宅中心地域がトップ10に初登場している。
また、倉敷市が20位、那須塩原市、富山市がともに27位と観光地が昨年までの圏外からトップ30以内に急浮上している。「那須塩原市は別荘地として有名なためバブル時の別荘ブームで購入した世代が高齢化し売却を考えている人が多いのかもしれない」、「富山市は、現在行われている再開発も1つの原因ではないか」とレポートは指摘している。
100位まででみると、東京都が19自治体と最多で、7自治体で2位の神奈川県、大阪府、兵庫県の倍以上となっている。次いで5自治体の埼玉県、千葉県、福岡県で、昨年と比較すると大都市のみでなく地方都市にも広がりをみせる結果となった。逆に少ないのは高知県、鳥取県、島根県などで概ね人口に比例しているようだ。(編集担当:久保田雄城)