高齢化の進展によって国民医療費は膨張の一途をたどっている。医療保険財政は厳しさを増しており、これが財政赤字の大きな要因の一つであるとともに、この状況が続けば医療保険制度の維持それ自体が困難となる。
政府はこれまでも医療保険財政の逼迫を緩和するために様々な改革に取り組んできた。医薬分業は薬漬け医療を改善し薬価による財政圧迫を緩和した。さらにジェネリック薬の推進は薬価圧縮に貢献している。高齢化によって増大する一方の患者数の下で効率よく診療を行うためには「かかりつけ医師」の普及も重要だ。
メディケア生命保険が今年2月、この1年内に医療機関を受診した全国の20~59歳の男女1000名を対象に「病院選び・医者選びに関する調査2019」を実施し、その結果を18日に公表した。調査結果では、「かかりつけ病院があるか」という質問に対し「ある」と答えた者の割合は66.5%で、日頃の病気や体調について相談する病院をあらかじめ決めている者が7割近くで多数派のようだ。
病院を選ぶ際に重視するポイントを聞いた結果では、「病院の評判」が62.6%で最も多く、次いで「近所、行きやすさ」が50.0%、「医師の評判」が39.8%、「医師・スタッフの対応の丁寧さ」31.8%という順であった。「病院の評判」については「患者からの評判」か「医師からの評判」か尋ねたところ、「患者からの評判がよい病院」が72.1%で「医師からの評判がよい病院」は27.9%となり、医師の評判よりも、受診した者からの評判を重視しているようだ。
「どのような医師に診てもらいたいか」という質問に対しては、「説明がしっかりしている」が72.2%で最も多く、次いで「話しやすい」が64.7%、「的確なアドバイスをくれる」62.6%などが半数以上6割超で多くなっている。
近年、診療のAI化も唱えられているが、これに関して「長年の経験を積んだ医師」と「豊富なデータが蓄積されたAI」のどちらに診察してもらいたいかと質問した結果では、「人間の医師」が86.0%、「AI」が14.0%となり人間の医師を希望する者が圧倒的多数となっている。男女別にみると「AI」を選択した者の割合は、男性が19.0%、女性が9.0%と男性のほうが10ポイント高くなっている。
多くの者は医師や医療スタッフとの良好なコミュニケーションを重視しているようである。効率的な診療体制を考える上でこの点への配慮も必要なようだ。(編集担当:久保田雄城)