職場においてメンタル面での不調を抱える社員は少なくない。社員が不調を抱えると、それは離職率に直結するため企業としても見逃せない問題だ。高卒新人の約4割、大卒新人でも約3割が入社後3年以内に離職する中にあって、社員のメンタル不調を早期に見極めることが求められている。
メンタルに不調をきたす社員は必ず何らかのサインを発している。そのサインに上司や同僚が気付けるかどうかが離職を防ぐための第一歩だ。もっとも早期に、そして顕著に表れるのは勤怠の乱れだ。始めは週明けの月曜日の朝、数分遅刻するだけかもしれない。しかしその遅刻の回数が増え始め、遅刻する時間も延びてくると注意が必要となる。特に普段定時に出社していた社員、まじめに仕事に取り組んでいる社員に勤怠の乱れが見られた場合にはメンタルの不調を抱えていることが多い。ここで「最近たるんでいる」などと注意してしまっては逆効果となる。本人は出社したいと思っているものの体が言うことを聞かない状態だからだ。さらに欠勤が増えたり、業務に集中していない様子がうかがえればほぼ間違いなくメンタルの不調を抱えていると言えるだろう。
こうした状況に気づいたなら上司は同僚はどうしたらよいのだろうか。もっとも重要なのは客観的なデータを示してメンタルの不調に気づかせることだ。多くの場合メンタルの不調を抱えている社員は不調に気づいてはいても具体的な理由については理解していないことが多い。そのためミスが増えていること、勤怠が乱れていることを出勤記録などから指摘し、産業医やカウンセラーによる診察・治療を勧めることができるだろう。もちろん、メンタルの不調に気づかせる段階で社員の話をよく聞くべきなのは言うまでもない。
メンタル面で問題を抱えている社員が治療を経て回復するか、休職になるか、離職するかは早期発見とその後の対応にかかっている。企業としても深刻な人材不足に対処し、採用コストや教育コストを無駄にしないためにも、社員のメンタルヘルスに十分な気配りをしなければならないだろう。(編集担当:久保田雄城)