直近のデータ、2015年の国勢調査を見ると単身世帯は1842万世帯で全体の34.6%を占めている。これは全世帯カテゴリーの中で最も多い割合で、もはや日本では単身世帯が最も多く、3世帯に1世帯は「おひとりさま」と言うことになる。この背景としては核家族化と高齢化によるひとり暮らしの年金生活者の増加が指摘されるが、また未婚率の上昇も大きな要因のようだ。
こうした単身化による生活様式の変化に加え、趣味・嗜好の多様化によって1人で行動することを好む「おひとりさま」も増えているようだ。これは消費行動の変化であるから、当然「おひとりさま」市場というものも大きなビジネスチャンスになる。
矢野経済研究所が「国内のおひとりさま関連16市場」の市場動向、参入企業動向を1~3月に調査、その集計結果をレポートとしてまとめ4月25日に公表している。
レポートによれば、17年度の「おひとりさま関連16市場」のうち12市場が成長し、金額規模でみると中食市場が8兆1000億円で前年度比6.6%の増加、外食市場が7兆6,415億円、前年度比4.5%の増加と突出している。参加人数でみるとカラオケ利用者が320万人で前年度比6.7%の増加と大きな伸びとなっている。
研究所独自の解析ツール「Xビジネスエンジン」を用いた外食市場の分析結果では、インターネット検索と口コミの総量である「熱量」で牛丼チェーン3社が上位を占めている。この3社は各種キャンペーンやイベント、テレビCMやネットCMなどメディアを活用した積極的な販促活動を実施し、ユーザー支持率、ブランド浸透率を高めているという分析結果になった。
18年度の見込みでは、16市場のうち14市場で成長の見込みで、伸び率でみると個人参加のフットサル参加者が前年度比12.5%増の45万人、コインランドリー市場が前年度比8.6%増の1086億円と大きく伸びる見込みだ。一方、婚活関連市場やジグソーパズル市場の2市場はマイナス成長になると見込まれている。
単身世帯の増加や未婚率の増加によって「おひとりさま市場」の対象人口自体が増加傾向であるが、レポートではさらに「『おひとりさま』という言葉がますます普及・浸透してきていることで、あらゆる分野において一人で行動し、楽しむ人が増える見込みで、おひとりさまが経済に与える影響は拡大していくと予測する」とまとめている。(編集担当:久保田雄城)