日本の社会問題となっている少子高齢化。その原因の一つと考えられるのが、未婚率の増加だろう。女性の社会進出は喜ばしいことである一方、「自活できる」「働きたい」という意識などから、たとえ相手がいても結婚を先延ばしする、いわゆる「おひとりさま」を選ぶ30代女性が増えている。総務省の国勢調査によると30~34歳の女性未婚率は1995年の10%から2010年には34.5%にまで上昇している。流行語でもある「婚活」の影響もあってか、ここ数年の未婚率は減少傾向にあるといわれているが、依然として高い状態であることには変わりはない。
様々な業界で、30代、40代の「おひとりさま」をターゲットにした商品が増えている。例えば、保険会社も独身者向けには死亡保障ではなく、年代に関係なく必要な医療保険やがん保険、貯蓄性の高い終身保険などの商品に力を入れはじめている。
また、老後を自分自身で支えなければならない必要性から、金融商品のニーズが高まり、女性向け金融商品の契約数が年々増加しているという。
中でも、とくに需要が増しているのが住宅業界だ。
マンションなどを購入する人も多いが、賃貸の需要も増えているようだ。また家賃の負担能力が高い女性入居者が増えていることから、安全で安心なことはもちろん、外観や間取り、設備仕様、インテリアなど、女性らしいこだわりのある上質な暮らしを求める人が増えているという。さらには、度重なる震災の影響もあって、耐震性能への関心も高く、セキュリティ機能、省エネ性能の高さも重要な選択項目となる。
ところが、これらの要求を満たす物件を探そうとしても、一般的な賃貸物件ではなかなかヒットせず、結局のところ分譲マンションか高級賃貸マンションになってしまうことが多かった。
そんな中、住宅大手のパナホームが今年4月に発売した3階建賃貸住宅「Le‐stagemaison FICASA3(レステージメゾン フィカーサスリー)」が話題になっている。同商品は、同社が2012年から全国展開を進めてきた、女性の視点や感性に応える賃貸住宅コンセプト「ラシーネ」の概念を導入し、マンションに劣らない住戸の設えやエントランス、屋内廊下の採用など、新しい感性価値が特長となっている。また、オーナーにとっても、3階建による高い敷地活用効率で収益性が見込め、節税対策にも有効な賃貸経営が実現できる。
また、大手だけでなく、一級建築士事務所である有限会社インターステーションが展開するリンクハウスシリーズの「フィゴーナ」も面白い。リンクハウスシリーズは一戸建ての借家だが、最も大きな特徴は、敷地内で中庭を囲むようにして4棟の戸建てが建っている点だ。プライバシーや遮音性など、戸建てのもつ様々なメリットを享受しながら、集合住宅のもつセキュリティ性をも確保していることで、注目が高まっている。
日本の人口減少や少子高齢化を考えると、単身者が増えることは決して喜ばしいことではない。しかし、現実として単身者が増えている以上、こうした需要は益々高まってくるのは間違いないだろう。単身者でももっと豊かで快適な暮らしを送れる社会を考えることが、今後の日本社会を豊かにすることにもつながるかもしれない。(編集担当:松田渡)