使用済小型電子機器には金や銅などの有用金属が含まれており、かつては市町村により一般廃棄物として埋め立て処分されていた。この有用金属の再資源化を図るため2013年に小型家電リサイクル法が施行された。環境省は基本方針として「2015年度までに、1年当たり14万トン」を目標値としたが、実績値はこれを下回り、2017年に目標達成年度を15年度から18年度へと変更した。
7月31日、 総務省が「小型家電リサイクルの実施状況に関する実態調査」の勧告に対する改善措置状況について、環境省及び経済産業省からの回答を受け、その概要をとりまとめ公表している。
環境省のデータによれば、17年度における回収実績は7万8310トンで前年度の6万7915トンに比べ大幅に増加したというものの18年度目標の14万トンの55%足らずであり、18年度の目標達成はほぼ不可能となったと言える。ちなみに18年度における小型家電リサイクルの実施市町村数は1591市町村で全市町村の91.4%となり前年の1315市町村から21.0%増加している。14万トン目標値に向けて回収量、実施市町村数ともに増加傾向で加速はしているようだ。
総務省は回収量の増加に向けた取り組みを促進するため市町村の採算性を向上させる情報を提供するよう環境省および経済産業省に勧告を行っている。この勧告を受け環境省では18年度に「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」に関する説明会を全国8か所で開催、採算性を向上させている市町村の取組など優良事例等を記載した「手引き」を作成し、都道府県および市町村担当者に情報提供を行っている。
未実施市町村の多くは回収量が少なく運搬費等が売却益より高くなる可能性や廃棄物処理事業者への委託費の増加のおそれ、また近隣に認定事業者がいないなどの課題を抱えている。こうした課題に対しては、18年度に複数市町村が連携して回収し同一の引渡先に引き渡すことで運搬の効率化を図るモデル事業を実施したが、事業の持続性に懸念があるため引き続き国の支援を継続することとなっている。また、都道府県による市町村への支援を促進するため「小型家電リサイクルの促進に向けた都道府県の取組事例集」を19年3月に作成し情報共有を図っている。
未だ目標値からはほど遠い状況とは言うものの、国の細やかな支援によって目標値実現に向けて加速しているのは確かなようだ。(編集担当:久保田雄城)