中部電力とトヨタ自動車が、電動車の駆動用電池をリユースした大容量蓄電池システム構築、ならびに使用済み電池のリサイクルについて実証を開始するとして、基本合意書を締結したと発表した。
トヨタ自動車の地元電力会社である中部電力は、再生可能エネルギーの大量導入に対して需給バランスの変動に的確に対応するとともに、電力系統の更なる合理的運用に向けた取り組みを推進している。
一方で、トヨタは、2017年12月に「電動車普及に向けたチャレンジ」を公表するなど、電動車の積極的な普及を進めるとともに、電池の有効活用など、電動車の普及を支える社会基盤の整備にも積極的に取り組む姿勢を明確にしている。
今回の両社の基本合意は、トヨタ製のハイブリッド車など電動車から回収した電池を、中部電力が蓄電池システムとしてリユースし、電力系統におけるさまざまな課題に応じて活用していくことを目指すもの。
単体として性能が低下した電動車駆動用電池であっても、多数の電池を組み合わせることにより、再生可能エネルギー導入の拡大に伴う需給調整への活用や、周波数変動および配電系統の電圧変動への対応などが可能になると考えられている。また、こうした電力系統の課題解決に加え、火力発電所の合理的な運用も期待できる。
両社は2018年度に蓄電池システムの実証を開始し、その結果を踏まえ、2020年度に発電出力約1万kW・電池1万台相当分の導入を目指す。
リユースする電池は、現在トヨタ社製ハイブリッド車(HV)を中心にグループ各社が大量に使用しているニッケル水素電池に加え、2030年度頃の蓄電池システムでは、今後普及が見込まれる電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)で使用されるリチウムイオン電池も活用する予定だ。
使用済みの電池については、レアメタルなどの素材を回収し、再資源化して活用することで、電池をリサイクルできる仕組みを確立することをも目指しているという。(編集担当:吉田恒)