冬に底冷えする築古戸建に朗報!今話題の最新リノベーション事情

2018年12月16日 13:10

リビング

積水ハウスの「いどころ暖熱」は家族が多くの時間を過ごすLDKを中心とした「いどころ」に絞って効率的に断熱改修をする

 さて、近年の住宅市場では、古い住宅を最新の技術で生まれ変わらせて住みごこちを向上する「リノベーション」が人気だ。矢野経済研究所の調べによると、2018年上半期の住宅リフォーム市場規模は2.9兆円。下半期では需要の活発化を見込んでおり、通年では前年比増となる6.2~6.5兆円と予測している。

 築20年を越える住宅に住んでいると、建物の老朽化が気になり始める。とくに冬場は、年末大掃除の際に家の傷みが目についたり、正月休みでくつろいでいる最中にリビングやキッチンの古さを改めて感じたりすることがきっかけで、リフォームやリノベーションを考える人も多くなるようだ。とはいえ、リノベーションの動機は建物の老朽化だけが理由とは限らない。出産などで家族が増えたり、逆に子どもの自立などで同居人数が減ったり、たとえ人数は変わらなくても、子どもの進学や成長、定年退職など、ライフスタイルの変 化もリノベーションの大きなきっかけになる。間取りを変更したり、空いたスペースを第二の人生を楽しむための趣味の部屋にしたり、中には住宅の一部を店舗などに活用するケースも珍しくない。

 また、家族の高齢化などを背景に、最新の技術や設備を導入することで快適性と安全性を高めようとするリノベーションも増えているようだ。とくに冬場は、急激な温度差によるヒートショックが怖い。リノベーションによって断熱性能の向上を図ることで、最悪の事態を未然に防ぐことができるかもしれない。

 最新技術や設備の導入は省エネにも貢献する。とくに最近は環境意識の高まりから、建物の省エネ性能等を重視する人が増えている。しかし、実際には既存戸建住宅を丸ごとZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)レベルにまで改修しようとすると、壁・床・天井などの解体が必要で、コストもかかり、工期も延びてしまうので、関心はあっても断念してしまう住宅オーナーも多いようだ。

 そこで注目したいのが積水ハウスが独自に提唱する「部分ZEH」という考え方だ。住宅全部は難しくても、部分的にZEHレベルの断熱性能に改修することで、快適性能の向上と住宅の消費エネルギーを大幅に削減しようとする、業界に一石を投じる新たな発想で、リフォーム専門子会社の積水ハウスリフォーム3社が、同社住宅を建てた顧客を対象に販売する「いどころ暖熱」がそれにあたる。これは、既存戸建住宅のZEH化で最も困難な断熱改修の範囲を、住まいの中で多くの時間を過ごすLDKを中心とした家族の「いどころ」に絞ってリノベーションするもので、築20年以上の住宅でもZEHレベルの断熱改修を短期間で行うことが可能だ。同社の調査によると、洗面所・廊下の室温差は、旧省エネ仕様と次世代省エネ仕様とでは約5.5℃の差になる。また同社の既存戸建住宅を対象とし、データ化した設計図面情報から現状の断熱性能を把握した上で改修を行うので、断熱性能をしっかり計算して確実な施工ができるのも特長の一つだ。

 家は、家族の団らんの思い出や歴史が詰まった大切な場所。たとえ古くなっても住み続けたいと思う人は多いだろう。躯体は古くてもしっかりしているが、当時の断熱は飛躍的に向上した現在の断熱技術には劣る。部分ZEHのような最新のリノベーション技術を上手に取り入れて、永く大事に、そして快適に暮らしたいものだ。(編集担当:藤原伊織)