今年7月の参院選挙で安倍総理が自民党総裁として自党候補の応援街頭演説をした際、「安倍辞めろ」など、ヤジを飛ばした男性が北海道警察に取り囲まれ、排除された問題で、北海道弁護士会連合会は北海道警察の行為に「法律的な根拠が見当たらない」従って「排除行為には問題がある」と指摘し「排除行為に至った事実経過、排除行為の法的根拠について直ちに調査し、その結果を公表するように」強く求める声明を5日までに発表した。
声明では排除行為を行うに至った理由と法的根拠等について北海道警察は「7月16日『聴衆とのトラブル防止のため』と『公職選挙法の選挙の自由妨害の違反になるおそれがある』ので行った旨説明していたが、翌日には『事実調査中』『現場の警官の判断で動いている』と回答内容を変え(朝日新聞の報道による)、その後今日に至っても明確な説明をしていない」と排除に正当な根拠を示さないまま、現在に至っていると問題視。
そのうえで「排除行為の対象となった市民の表現行為は公職選挙法違反として立件されていないことからも明らかなように、同法に抵触するものではない。また表現行為の態様、表現者の数等からみても同法違反のおそれや他の聴衆とのトラブルのおそれがあったと合理的に考えることも困難である」ことをあげている
また警察法2条2項が「責務の遂行に当つては不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等、その権限を濫用することがあってはならない」と定めていることをあげ「公権力の担い手である警察がこれに反することは、自由と民主主義、政治的少数者に対する重大かつ深刻な脅威となり、許されない。こうした観点から本件排除行為には大きな問題があるといわざるを得ない」と強い疑問を投げた。
この事件では北海道警は「職権濫用罪」で札幌地検に告発されている。北海道弁護士会連合会は北海道公安委員会に対しても「北海道警察が直ちに対応を行うとともに、憲法や警察法の趣旨に則り、適切な職務遂行に努めるよう、北海道警察を適切に管理するよう」訴えた。この排除行為には報道後、北海道警察への批判の声が相次いでいた。行為に対する法律上の根拠を説明することが北海道警察に求められている。(編集担当:森高龍二)