鬼退治で岡山の魅力発信!? 山陽新聞社が仕掛ける位置情報アプリが人気

2019年09月08日 10:36

鬼詣ロゴ

岡山県全27市町村を巻き込んだ、史上初の位置情報鬼退治アプリ「桃太郎外伝鬼詣(オニモウデ) 岡山見聞録」

「Pokemon GO(ポケモンGO)」で一気に認知度の高まった、位置情報を利用したスマートフォン向けアプリ。一時のブームは過ぎ去ったものの、今でもポケモン捕獲のために街なかでスマホのカメラをかざしている人も多いのではないだろうか。

そんな位置情報アプリを活用して地域活性をしようとする試みが岡山県で始まって話題を呼んでいる。それが、岡山県全27市町村を巻き込んだ、史上初の位置情報鬼退治アプリ「桃太郎外伝鬼詣(オニモウデ) 岡山見聞録」だ。

「鬼詣」を仕掛けたのは、岡山に本社を置く山陽新聞社。観光客の誘致を通じて、昨年7月に岡山県に大きな被害をもたらした西日本豪雨の被災地の復興につなげようと企画されたものだ。プレイヤーは「桃太郎の意志を受け継ぐもの」となって、岡山県内に巣くう鬼たちを封印して回る。鬼のキャラクターデザインを手掛けるのは「紙兎ロペ」などで知られる青池良輔氏。名所や名物にちなんだ可愛い鬼キャラが、リリース時点で全112体。山陽新聞社の本気度が窺える。

 しかし、これだけなら、よくある位置情報を利用したゲームアプリだ。「鬼詣」で特筆すべきは県内全27市町村が完全タイアップしているという点。しかも、課金なしの完全無料。岡山県を拠点とした企業も続々とコラボし、それにちなんだ鬼キャラも増えているという。

 アプリをダウンロードして地図を開くと、鬼のいる場所が表示される。その場所に行き、鬼を見つけたら早速、対決開始。発見した鬼は、その鬼にちなんだ文字を選ぶことで封印でき、封印に成功すると、鬼をコレクションできるとともに、きびだんごをGETすることができる。このきびだんごを集めた数によって、岡山の特産品や鬼のキャラクターグッズ、観光名所などの特別優待券など、様々な特典を手に入れることができるという仕掛けだ。

 出現する鬼も、出現場所にちなんでバラエティに富んでいる。

 例えば、岡山駅で出現するのは、お馴染みの鬼とは程遠い、駅そのものに角が生えたような風貌の「岡山大将」。しかもなぜか、鬼のくせに犬猿キジを従えている。また、特産の餅米「ヒメノモチ」で知られる新庄村のがいせん桜通りに出現するのは、おっとりとした餅のような風体の「ひめの姫」。

 普段は大人しいが、怒ると驚異の粘り腰で追ってくるというから恐ろしい。

 企業や店舗系の鬼も面白い。岡山名物のきびだんごと共に150年の歴史を持つ菓子メーカーの廣榮堂 藤原店では「廣榮大名」が、あろうことか桃太郎のパワーアップアイテムであるきびだんごを手に不敵な微笑みを浮かべて待ち構えている。

 また、岡山を拠点に全国にミツバチ産品を展開している山田養蜂場の直営店舗「お菓子工房ぶんぶんファクトリー」では、同店の名物であるはちみつソフトクリームを抱えた可愛らしい「ぶんぶん童女(どうじょ)」、さらには同社グループの山田養蜂場みつばち農園では、高貴な雰囲気を醸し出す「ミッツバーチ女王」が出現。ちなみにこの「ぶんぶん童女」と「ミッツバーチ女王」は、封印することで得られるゲーム内ポイントが最高レベルのレアキャラとなっている。「鬼詣」ユーザーなら訪問せずにはいられないだろう。

 さらに親切なことに、「鬼詣」はわざわざ岡山に出向かなくても全国で遊ぶことができる。地元の町の思わぬところで鬼と遭遇し、封印できるかもしれない。 しかし得られるきびだんごの数は少ないようだ。アプリ開発の目的に賛同して、岡山の各市町村に足を運び、全鬼キャラ制覇を目指してもらいたいものだ。(編集担当:藤原伊織)