富士キメラ総研がAIビジネス市場調査結果を発表。2018年度の市場は5301億円と推計。金融業や製造業などでAI導入が拡大。ソフトウェアやクラウドにAI搭載が進むと予測。30年度市場は5.4倍と予測。
日本は深刻な人手不足の状況にある。この人手不足解消の手段としては、第一に外国人労働者の活用が考えられているが、また産業のAI化による労働生産性の向上も不可避である。
世界では既にAI化への取り組みが加速しているが、多くの国ではAIが人間の労働を奪う可能性があるとネガティブに捉える者が多いのとは対照的に日本では人手不足を解消する有力な手段とポジティブに捉えている者が多いようである。日本のAI化については人材資源など様々な難問を抱えているというものの着々とAI化への準備が進んでいるようだ。
7日、富士キメラ総研が、本格的な導入が進む国内のAI(人工知能)ビジネス市場の調査を実施しその結果レポートを公表した。
レポートによれば、2018年度の市場規模は5301億円と推計されている。現状のAI導入のほとんどはPoC(実証実験)の段階であるが、金融業や製造業などでは本格的な導入が進んでおり市場は拡大傾向だ。
業種別に18年度の市場規模を見ると、金融業が1446億円、プロセス製造業が504億円、組立製造業757億円、医療・介護業174億円などとなっている。
サービス領域では、構築サービスが大半を占めており、特にSI(システム統合)が牽引役となって拡大傾向にある。また、AI環境を長期的にサポートするために運用・保守も成長している。AIの効率的運用には定期的な再学習、アルゴリズム変更などが必要なため、今後はこれら運用・保守シェアは拡大傾向で推移すると見込まれる。
アプリケーションでは、AI搭載製品とアナリティクス関連が中心で、労働人口減少を背景に需要増となっている。クラウドなどでAI搭載が進み、特にマーケティング分野などで活用が進むと予想される。
プラットフォーム領域では、自社でAI関連人材を抱えることが困難な企業を対象に市場が拡大している。学習データが不足しているケースが多く、今後は追加学習可能なカスタムAPIが拡大していくと見込まれる。
こうした全体的動向からレポートでは30年度のAIビジネス市場は幅広い業種でAIの導入が進み大幅に拡大、その規模は17年度の5.4倍に当たる2兆1286億円と予測している。
以上のように既にAIに対する加速度的な需要増大の兆候が見られるものの、それを供給できるだけのAI人材の確保が出来るかということが今後の課題となろう。(編集担当:久保田雄城)