育児休業制度は当初女性差別撤廃という人権問題から導入されたものだが、近年の労働力不足を背景に女性の積極的な社会参加が唱えられ、その適用範囲も拡張しつつある。女性の社会参加を支えるためにも家事労働の男女分担が注目され、政府も男性の育休取得促進を政策課題として掲げている。
連合(日本労働組合総連合会)が9月上旬、子どもがいる全国の25歳から49歳の有職男性1000名を対象に「男性の家事・育児参加に関する実態調査」を実施し、10月上旬にその集計結果を公表している。
調査結果によると、パート・アルバイトを除く働く父親の1週間の合計労働時間は「40時間~50時間未満」と答えた者が57.7%と約6割で最も多く、平均では46.9時間となっている。
年次有給休暇の付与日数については「11日~20日」との回答割合が49.7%と約半数で最も多く、平均日数は20.1日となった。付与日数を把握している者937名に直近1年で取得した有休の日数を聞いた結果では「1日~10日」が55.7%と半数超えで最も多く、平均は8.9日となっている。有休が付与されており日数を把握している者894名の平均有休取得率は51.0%となる。人員では88.6%の者が有休を消化しきれていない。
1週間の育児時間を聞いた結果では、「10時間~14時間」の20.0%と「4時間~5時間」の15.1%に回答が集まり、平均は9.3時間となっている。仕事と育児についての理想を聞いた結果では、「仕事と育児を両立」は62.7%と最も多く、「仕事を優先」は19.1%、「育児を優先」14.1%でワークライフバランスを重視したいと考えている者が多いようだ。
育児のために取得した休業・休暇を聞いた結果では、「取得していない」が45.6%で最も多く、次いで「年次有給休暇」が35.6%、「配偶者出産休暇」24.6%、「振替休日・代替休暇」11.7%の順となっており、半数近くの男性は育児のために仕事を休んでいない。
育休取得への意向を見ると「本当は取得したかった」は30.2%にとどまり、「取得するつもりがなかった」が69.8%と約7割となっている。取得しない理由では、「仕事の代替要員がいない」47.3%、「収入が減る」36.6%などに回答が集まり、取得意向がない者に限って見ると「仕事にブランクができる」17.1%や「男性が取得するものではないと思う」14.2%などが高くなっている。男性の育休取得については職場環境が未だ整っていないようだ。(編集担当:久保田雄城)