富士経済がスマート工場を構築するシステム・製品の世界市場の調査。2025年のモノづくり向けAIシステム市場は3080億円、18年比5.6倍。スマート工場関連市場は6兆9は543億円で3.0倍にと予測。
日本は深刻な人手不足の状態にある。直近の有効求人倍率は1.57倍で以前よりは緩和傾向が見られるというものの未だ高い水準を維持している。今後は急速な生産年齢人口の減少が確実であるのだから人手不足の状況はますます悪化して行くであろう。
特に人手不足が深刻なのは介護・福祉や小売・飲食、建築関連そして製造である。こうした分野ではとくに労働生産性を向上させることが求められている。労働生産性を高めて行くために必須なのはAIロボット等を用いた作業の自動化だ。日本のみでなく世界的にこの自動化の動きは加速している。
市場調査業の富士経済がスマート工場を構築するシステム・製品の世界市場の調査結果を発表した。スマート工場とは多品種少量、変種変量生産に対応する知能化された柔軟性が高い工場であり、従来のFAシステムにITとハードウェアを組み合わせ、IoTデータを活用することで安定した生産を維持する24時間稼働や自律型AGVを積極的に活用しレイアウト変更が簡単な工場のことだ。
2019年は、米中貿易摩擦の影響による景気減速感があるものの、工場のスマート化に対するユーザーの意識が高まっており、市場は前年以上の伸びが見込まれる。今後もIoTやAI技術の活用が活発化し、市場は拡大していくとみられる。
品質管理や予兆保全、外観検査などを活用する「モノづくり向けAIシステム」の19年の市場規模は700億円で、前年比127.3%と見込まれ、25年には2080億円まで拡大、18年度比5.6倍に達すると予測されている。
多品種少量生産に対応する「ロボットアームを搭載したAGV」は、生産ラインのフレキシブル化や省人化へ の対応が求められているため19年見込みは100億円、117.6%の伸びだ。25年には295億円と18年比3.5倍までに達する予測だ。
産業・業務向けのAR、MR表示デバイスである「スマートグラス」は、国内では熟練者の高齢化が進展する中でノウハウや技術伝承や技術の平準化を実現する手段として活用が進んでおり今後さらなる市場拡大が期待される。19年の世界市場規模は53億円の見込み、18年比は123.3%、25年には185億円で18年比4.3倍に達すると予測されている。
日本国内でもこうしたスマート化が積極的に行われており人口減少に伴う人手不足を相殺する動きとして期待される。(編集担当:久保田雄城)