強い日本経済復活のためにも、急がれるグローバルな人材育成

2013年02月20日 09:56

 昨今、ビジネスフィールドのグローバル化が著しく進む中、世界に通用する人材へのニーズが高まっている。反面、若い世代は消極的な志向を持つものが多く、優秀な頭脳を持ちながら、それを発揮する手段や思い切りが足りず、模索していることが多いという。

 科学文部省はその打開策として「グローバル人材育成推進事業」を実施している。これは若い世代の「内向き志向」を克服し、国際的な産業競争力の向上や国と国の絆の強化の基盤として、グローバルな舞台に積極的に挑戦し活躍できる人材の育成を図るべく、大学教育のグローバル化を目的とした体制整備を推進する事業に対して重点的に財政支援することを目的としている。

 対象は国公私立大学で、同事業において設定する目標について、大学全体でその達成を目指す取組を対象としたタイプA(全学推進型)と、同事業において設定する目標について、今回の構想の対象となる学部・研究科等でその達成を目指す取組を対象としたタイプB(特色型)に分けられ採択。選定のための審査は、独立行政法人日本学術振興会を中心に運営されるグローバル人材育成推進事業プログラム委員会が実施。具体的には、委員会のもとに設置される審査部会において「書面審査」及び「ヒアリング審査」を実施し、委員会は、審査部会の審査結果を踏まえ、採択する構想を決定する。採択校は2タイプで約40校程度となっている。

 また、グローバルな育成の一環として、幼少期からの英語教育にも注目が集まっている一方で、英語はあくまでも伝達手段にすぎず、それを活用できる能力の醸成が課題となっているという。そのような中、住友商事 と東京インターナショナルスクールは、英語で学ぶ学童保育・幼児園の運営および独自のグローバル教育カリキュラム提供事業を共同で行うことに合意した。

 同事業では、国際バカロレア(1968年にジュネーブで設立された世界中どこでも履修できる共通の小・中・高校教育課程の教育プログラム。現在世界142カ国約3,400校が認定校となっている)認定校の一つである東京インターナショナルスクールが構築した「探求力」を高める独自のメソッドを応用した「英語で学ぶカリキュラム」を、住友商事の多様な消費者向けビジネスにより培われたマーケティング力を活かして全国に事業展開していく。吸収力の高い幼児・児童期(3歳~10歳)の子どもを対象に、確実な英語力のみならず、自ら考える力や自信、他者を思いやる気持ち、挑戦する力、自己表現力といった、世界で活躍するうえで必要なスキルを身に付ける機会を提供する。

 今回の合意のより、まず住友商事が東京インターナショナルスクールのグループ企業である株式会社グローバル人材研究所に50パーセントを出資。同社を通じて2013年4月に東京都内の2か所で、社会的ニーズの高まっている学童保育および幼児園を開所し、グローバル人材育成のモデル校と位置付ける。これら2校で開発したカリキュラムを、学習塾や学童保育事業者、英会話スクール、幼稚園、小学校などを対象に住友商事が独占的に販売。同時に、カリキュラムを実践する英語ネイティブ教師の採用コンサルティング及びトレーニングプログラムも提供するという。

 
 日本人が世界のフィールドで活躍することが昨今は多くなってきているが、まだまだその数は少ない。バブルショックから始まった日本の経済不況を打破し今後、日本がさらに飛躍するためにも、戦後、がむしゃらに働き、日本を経済大国として位置付けるまで成長させたあの時代の人々が持っていたバイタリティや積極性を持つ人材が蘇る必要があるのかもしれない。グローバルな人材を育成していくことが、次世代の日本に明るい輝きを見い出すことにつながると期待したい。(編集担当:宮園奈美)