既に世界の企業はビジネスのAI化に向けて動き出している。AI関連の人材は世界的に不足し激しい争奪戦が起きている。当然こうした人材の賃金は世界的に大きく上昇しているが日本ではそうした傾向は顕著ではない。日本では未だAI化に向けてどのような人材が必要なのか模索している段階であるとも言える。
13日、日本オラクルが日本の「職場におけるAI(人工知能)」に関する調査結果のレポート公表した。本調査はオラクルと調査会社Future Workplace社が共同で7~8月に実施したもので、米国、英国、フランス、中国、インド、オーストラリア・ニュージーランド、シンガポール、UAE、ブラジル、日本の世界10カ国・地域における合計8370名が対象、うち415名が日本企業・団体の従業員、マネージャー、人事担当である。
レポートによれば、職場で何らかの形でAIを利用していると回答した者の割合は10カ国・地域の全体で50%であった。国別に見ると日本で利用していると回答した者は29パーセントに留まり全体平均より低くなっている。上位3カ国のインドの78%、中国77%、UAE66%と比べ半分以下だ。
日本の職場でのAI利用は、「従業員や顧客のデータ収集」、「お客様からの質問への応答」、「デジタル・アシスタント」が多くなっており、他の国・地域と大きな違いはない。
「マネージャーよりもロボットを信頼する」と回答した者の割合は世界平均で64パーセントとなっており、日本ではその回答割合は76%となっている。多い国・地域を見るとインド89%でトップ、次いで中国88%、シンガポール83%、ブラジル78%、次ぐ日本が76%で5位であり、新興国で高く先進国で低い傾向がある。
「将来、ロボットがマネージャーに置き換わるか」という質問に対して肯定的に回答した割合は世界全体で32%、日本では19%のみとなっている。「ロボットはマネージャーよりも何が優れているのか」と質問した結果では、日本での回答は「バイアス(偏見)のない情報の提供」53%、「仕事のスケジュールの維持・管理」47%、「予算管理」43%という回答が上位であった。
慶應義塾大学大学院の岩本隆特任教授は「日本ではマネージャーは現場を把握すべきといった考え方が根強く、そのため、報告のミーティングがびっしり入ることになってしまう。こうしたミーティングに意味があるのか、考え直さなければなりません」とコメントしている。(編集担当:久保田雄城)