10月に消費税率の引き上げが行われ、かねてより消費の失速が懸念されてきた。駆け込み需要の動きが小さかったため今回の消費反動は軽微にとどまるとの憶測であったが、10月に入ってからの天候不良、昨年から続く世界経済の減速もあり、小売・飲食では予想以上の失速が起こっているようだ。
特に飲食業では食料品の軽減税率導入に伴い外食需要の大きな落ち込みが危惧されてきた。この懸念は中小零細店を中心に現実のものになったようである。また軽減税率適用による現場での混乱、事務の繁雑化が飲食店経営をさらに圧迫しているようだ。
飲食店コンサルタントのシンクロ・フードが、自社の運営するサイト会員384名を対象に消費税増税・軽減税率制度の実施に伴う影響や対応状況に関するアンケート調査を10月下旬に実施、6日その集計結果を公表している。ちなみに、調査協力店の69%が1店舗経営、71%が首都圏の店舗だ。
集計結果によれば、「軽減税率の対応は完了しているか」という問いに対しては「完了している」と回答した店舗の割合は79.4%、レジ設備、メニュー表記等「まだ対応しきれていない点がある」は20.6%で未だ対応できていない店舗は2割におよぶ。
軽減税率対応に当たって「機器・設備購入にかけた費用」については、「0~10万円」が76.0%、「11~30万」10.2%で、約8割が10万円以下、9割が30万円以下の投資であったようだ。
軽減税率の「経営への影響」について聞いた結果では、「客数が減った」が49.0%で最も多く、約半数の店舗で客足が落ちているようだ。次いで「売り上げ管理など経理業務が煩雑化した」37.0%となっている。
自由記述欄を見ると「増税以降、如実に客数が減った。外食は贅沢、外食は割高、そういうイメージをバンバンとCMやニュースで流されたせいで、たった2%アップでも『外食は高いから控えよう』というムーブメントが起きているように感じる」(愛知県/イタリア料理)、「処理が多く、非常に面倒な印象。税率は軽減されても労働量が増えている為、利益としては減る印象である。経理の作業量が増え、人材不足の中、細かい、且つ、非常に意味のない作業が増えている印象である」 (大阪府/居酒屋・ダイニングバー)などとなっている。軽減税率の飲食店経営への影響は相当のもののようだ。(編集担当:久保田雄城)