防衛省は11月に実施してきた「観閲式」を今年は中止する。「隊員の錬成訓練の時間を割かなければならなくなるなど、国際情勢を踏まえて警戒監視を始めとする各種対応に一分の間隙も生じさせることはあってはならないなかで難しい」(中谷元防衛大臣)と判断した。
中谷大臣は「観閲式では全国の部隊から約5000名以上の人員を1か月間程度、装備品を約2か月間程度、観閲式のために差し出す必要がある。観艦式や航空観閲式においても、その時点で使用可能な全国の艦艇、航空機の一定数を相当期間、行事のために差し出す必要がある」と中止要因の一つに挙げた。
加えて「式典に際し、一般見学者のための案内係、駐車場への誘導、警備、場内整備など非常に多くの隊員の労力が必要となる。その結果、各部隊では練成訓練の時間を削減しなければならない。練度の維持・向上に影響が出る恐れがある」。
また国際情勢も要因とした。中谷大臣は「ロシアによるウクライナ侵略が示すように、新たな危機に突入している。中国は力による一方的な現状変更の試みを継続・強化しており、今年、空母が硫黄島より東側の海域で活動したことを初確認した」とした。(編集担当:森高龍二)