アキュラホーム、「カンナ削りの“木のストロー”」普及プロジェクト全国で始動

2020年01月26日 10:22

Aqura Wood Straw project

全国のアキュラホーム拠点で開催する「木のストロー 手作りワークショップ」では、グループの職人がカンナ削りを実演、0.15mmのスライス材をつくる。写真は発表会でカンナ削りの「技」を披露する宮沢俊哉アキュラホーム社長

 木造注文住宅メーカーのアキュラホームが主宰する全国工務店グループ「SABM」が、環境貢献活動として取り組む、自社開発した「カンナ削りの“木のストロー”」の普及を目指して、「あなたがつくる木のストローが地球の未来を救う『1000万本の木のストロー』プロジェクト」を全国でスタートさせると都内で発表した。

 現在、地球環境に対するさまざま危機感が世界的に高まっており、なかでも「廃棄プラスティック」対策の取り組みへの象徴としてプラスティック製ストローの廃絶・使用中止が世界規模で進み、ストローの廃絶あるいは自然素材ストローへの移行が進んでいる。

 アキュラホームは2018年12月に自社開発オリジナルの木製ストローを発表し、ザ・キャピトルホテル東急がホテルはラウンジやレストランで19年1月から導入を開始した。

 この「木のストロー」開発に至ったキッカケ・経緯は、環境ジャーナリストの竹田有里氏が、2018年7月西日本豪雨の被災地を取材した際に、森林保全のための管理不足を肌で感じ、森林保全で発生する「間伐材を活用出来ないものか」と思い立ったことに始まる。

 森林環境ならびに、森林を水害や土砂崩れから守る策として、森林面積を維持・保全し、CO2 排出量を減らす、さらに廃棄プラスティック問題を同時に解消する木製ストローの製造が大変に有用だと、アキュラホームに開発協力を仰いで完成した製品だ。

 以来、間伐材を利用した「木のストロー」、森林保全や廃プラ問題を解決するソリューションとして、国内外から注目されている。今回、発表した「1000万本の木のストロープロジェクト」は、海外からの訪日客方にも広くアピールし、世界中で普及を加速させ、地球環境を改善するキッカケにという思いを込めてプロジェクトを始動したという。

 プロジェクトの発表会場でアキュラホームの宮沢俊哉社長は。「カンナで木の表面を綺麗に削ると言う作業は、日本だけに残った大工さんの“匠の技”です。カンナは日本人でも多くの職人が扱える道具ではなくなっています。木のストローはカンナ削りで出来る0.15mmのスライス材をスパイラル状に巻いて作ったストローで、未だ機械化や大量生産にはほど遠いのですが、誰でも手作りでき、世界のどこでも製造できるメリットもあります。森林資源を維持するための間伐材を有効活用した手作り木製ストローを、2020年に多く来日する訪日客の方々にプレゼントすることで、日本の木の文化、ものづくりの心を世界に伝えたく、プロジェクトをスタートさせます」と語った。

 現在ストローには、国産材としてもっとも多い「杉」を活用して製作しているが、今後複数回使用できるコーティング剤の研究・開発を行っているとした。

 具体的には2月1日から「木のストロー」HPで告知、申し込みを受け付け、全国のアキュラグループの拠点を使って「木のストロー 手作りワークショップ」を開催する。主催・協賛はアキュラホームグループ、スマートアライアンスビルダーメンバー7社「SABM」が発起人となり、プロジェクトを推進し、全国規模で参加できる体制をとっていくという。

 1月18日付け全国紙で全面広告を展開、2月1日からはこのプロジェクトのテレビCMを放映してプロジェクトを訴求する。また、オリンピック&パラリンピック期間中は新国立競技場の正面に木製ストローによる「おもてなしステーション」を設置する予定だ。

 木のストロー訴求において、2019年のG20大阪サミットや主要国大臣会合などで採用されたのをはじめ、2019年に開催されたすべてのG20会合で採用され累計6170本を提供した実績がある。 その他、G20消費者政策国際会合、G20文部科学省主催教育関連イベントにも提供された。

 また、持続可能な開発教育(ESD=Education for Sustainable Development)の一環として、各省庁・ 全国各地 自治体・小中学校と共同で、木のストロー制作ワークショップを実施。横浜市の公立小中学校の教材としても利用されている。(編集担当:吉田恒)